米ママたちに広まりつつある危険な「脱マスク」思想:「子供たちのマスクを外そう」

ママインフルエンサーたちがInstagramでアンチ・マスクを拡散している(Photo by GettyImages)

新型コロナウイルスのパンデミックが続くなか、SNSでは日に日に多くのデマ情報が広がっている。「子どもたちのマスクを外そう!」と、米国のママインフルエンサーたちのなかで"脱マスク"が広まり始めている。

ジョディ・メシュクさんは、Instagramで2万人以上のフォロワーを持つ反ワクチン提唱者だ。今週のはじめに「子どもたちのマスクを外そう。ママ友にもそう教えてあげて」というキャプション入りの無邪気な子どものイラストをInstagramに投稿した。メシュクさんが投稿したイラストには、「呼吸で溜まった水蒸気のせいで微小のカビを吸い込んでしまうおそれがある」や「徐々に蓄積された二酸化炭素を吸引することで認知障害を引き起こしかねない」、さらにゾッとするものとしては「酸素が足りないと言葉で伝えられない赤ちゃんや幼児の窒息を招く」のような間違いだらけのマスク着用のリスクが記されていた。

メシュクさんの投稿は、「私たちのコミュニティは、子どもたちに関わるこれらの情報がすべて事実である証拠をいたるところで目にしています。子どもたちに息をさせてあげましょう」と締めくくられている。

メシュクさんのイラストは、一部のママインスタグラマーたちのあいだで幅広くシェアされた。5万4000人以上のフォロワーを抱えるインフルエンサー、ジェイリン・シュレーダーさんもそのひとりで、ここ最近シュレーダーさんは右翼の陰謀論をさまざまなプラットフォームで展開する匿名集団QAnon(キュー・アノン)関連の内容まで投稿している。当然ながら、メシュクさんらが提唱している情報は危険なほどに間違っていると米テキサス州ヒューストンのベイラー医科大学国立熱帯医学校の学部長を務めるピーター・ホーテズ博士は指摘する。「一般的に言って、健康な人あるいは中度障害を抱えている人の健康を害するという情報を耳にしたことはありません」と博士は述べ、メシュクさんのイラストに端を発するこれらのデマ情報は、「我々が理科の教員たちに対して不当な低賃金を支払い続けた代償である」とコメントした。

しかしながら、マスク着用をめぐるこうした発信は、一部の過激な人々に限られたものではない。さまざまなジャンルのライフスタイル・インフルエンサーたちはマスクに関するあいまいで危険な誤報をこれまでもシェアしてきた。こうした発信のほとんどは、マスク着用を強要する多くの政策に個人の自由の問題で対抗しようとしており、そのなかには、マスクはCOVID-19予防に効果はないとまで主張したり(そのようなことはない)、挙げ句の果てには子どもたちの健康に害を及ぼすと言語道断なことを言ったりするものまである。

Translated by Shoko Natori

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE