吉田拓郎と井上陽水、1970年代のライブアルバムを振り返る



吉田拓郎さんの「マークⅡ」。デビューシングル『イメージの詩』のカップリングですね、この『よしだたくろう オンステージ ともだち』は1971年6月に発売になっているんですが、拓郎さんのアルバムでは2枚目です。1970年11月に1枚目のアルバム『青春の詩』でデビューしているのですが、アルバムでデビューしてから1年も経っていない時にライブアルバムを出しているんです。発売はエレックレコードですね。エレックレコードは、吉田拓郎の魅力を伝えるのならライブだと思ったんでしょうね。

エレックレコードというのは、元々ギターの教則本の通信販売で始まった会社なんです。最初に作ったレコードは、文化放送のDJ土居まさるさんの『カレンダー』というシングルでした。やはり新しい何かを求めていたんでしょうね。エレックレコードは、ニッポン放送や文化放送と繋がりがありましたから、深夜放送的な発想でこのライブアルバムを作ったんだと思います。このライブアルバムを聴いた時は、なんて自由なんだろうって思ったんですが、深夜放送的な楽しさがあったからですね。拓郎さん自身も、ラジオはTBS、ニッポン放送、文化放送、ラジオ関東など全曲の深夜放送を制覇した人です。その自由さの象徴のように、自分の「青春の詩」を「老人の歌」として替え歌で歌ったりもしているんですが、今日は時間の関係でご紹介できません。替え歌の楽しさも詰まってます。デビュー曲「イメージの詩」では、こんな風に歌っております。



1971年6月に発売になりましたライブアルバム『よしだたくろう オンステージ ともだち』から、デビュー曲「イメージの詩」をお聴きいただきました。陽水さんの「人生が二度あれば」もそうですけど、この「イメージの詩」も、当時の世の中に流れていた歌とは全然違う歌だ、こんな歌を歌う同世代の若者が出てきたんだ、というのが当時の僕らの拓郎さんに対しての最初の印象でした。

演奏しているのは、“ミニ・バンド”という、井口よしのりさんと田辺かずひろさんの2人組です。この2人は広島の音楽仲間ですが、フォーク村ではなかったんです。拓郎さんはダウンタウンズというロックバンドを組んでいたので、そういう流れのミュージシャンで、その後、田辺さんは広島の獣医さん、井口さんは老舗の家具屋さんの社長になりました。2人ともそろそろリタイアの時期ですね。まだプロのバンドをつけられなかった時代に、一番気心の知れた後輩と一緒にやったというステージですね。収録は、アルバムにクレジットされていないのですが、1971年3月の新宿厚生年金会館だろうと言われています。さっきの陽水さんは小ホールでしたが、拓郎さんは大ホールでした。

Rolling Stone Japan 編集部

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