史上最高のベーシスト50選

左からブーツィー・コリンズ、フリー、エスペランサ・スポルディング(Photographs used in illustration by AP/Shutterstock; Joseph Okpako/WireImage; Elaine Thompson/AP/Shutterstock)


24位 ゲディ・リー

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ラッシュのライブにおいて、キーボードと足元で操作するシンセを操りながら圧倒的なボーカルを聴かせるゲディ・リーは、絵に描いたようなマルチプレイヤーだった。しかし、タフで逞しくも、抑制を効かせたテクニックによるスピーディーでリズミカルなベースプレイこそが、先進的なロックの伝道師たる彼の真髄であり、それは60年代のパイオニアたるジャック・ブルースやジョン・エントウィッスル等と、90年代にシーンを揺るがしたレス・クレイプールやRATMのティム・コマーフォードらを結びつける鍵となっている。70年代のプログレ期のマスターピース『フェアウェル・トゥ・キングス』から、ニュー・ウェーブの影響を受けた80年代の傑作『グレイス・アンダー・プレッシャー』、90年代に発表したハードな『カウンターパーツ』まで、リーのガッツとセンスに満ちた意外性のあるファンクネスは、あらゆる時代のバンドに多大な影響を与えた。「シグナス X-1 第1巻『航海』」での軽快なフレージング、「トム・ソーヤ」における7/4拍子の鋼のようなブリッジリフ、ダンスポップに挑戦した「スカーズ」等でも、彼の独創的なプレイは曲のアイデンティティとなっている。「14歳の時に彼を観て、俺もあんな音を出したいと思ったんだ」クレイプールはリーについてそう語っている。「今も彼の境地にはまだ遠いけどね」




23位 ビル・ワイマン

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「俺より上手いベーシストなんて何百人といるよ」ビル・ワイマンは1974年に本誌にそう語っている。「ジャック・ブルースみたいに弾けるわけじゃないしさ。あんな風になりたいならもっと練習するだろうけど、そんなつもりはないんだ」。彼は謙虚な姿勢を崩さないが、ローリング・ストーンズのメンバーたちはその才能を認めている。「ビル・ワイマンは最高のベーシストだ」キース・リチャーズはそう語っている。「ベースプレイのセンスにはいつも驚かされるよ。あいつはものすごく敏感なミュージシャンだ」。「サティスファクション」のアイコニックなギターリフを支えるスマートなハーモニー(ギターのラインが上昇するにつれてベースは下降する)、「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」における穏やかなフレージング、「ロックス・オフ」のグルーヴを支える小刻みなリズム等によって、ワイマンはリチャードの信頼を勝ち取った。「俺は音数で勝負するベーシストじゃない」ワイマンはそう話している。「スタンリー・クラークみたいなタイプじゃないんだ。ああいうプレイヤーはベースじゃなくてギターを弾くべきだと思うね。ボトムを支えるやつには覚悟がいる。他のプレイヤーのためにスペースを残し、そこを自分で埋めようとはしない。余白をたっぷり残すことで、曲にしっかりと呼吸をさせてやるんだ」




22位 フリー

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1983年の結成以来、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのギタリストとドラマーは幾度となく入れ替わっているが、パンクとファンクとサイケデリックを大胆に融合させたワイルドなサウンドを代名詞とするフリーは、結成時から一貫してバンドのバックボーンであり続けている。フリーことマイケル・バルザリーは、ジャズのミュージシャンだった継父から大きな影響を受けて育った。「最初はジャズのトランペッターになりたかった。でも10代になって、親に反抗したくなったんだ」彼は2006年にそう語っている。「パンクロッカーとしてベースを弾くこと、それが俺のすべてだった」。ペッパーズ以外では、彼はザ・マーズ・ヴォルタの2003年のデビュー作『ディラウズド・イン・ザ・コーマトリアム』と、同バンドのスピンオフ、アンテマスクでベースを弾いている。2009年にはトム・ヨークと共にアトムス・フォー・ピースを結成し、「Before Your Very Eyes...」や複雑な展開をみせる「Reverse Running」等で、その類い稀なテクニックを披露している。しかし彼の真骨頂は、ブーツィー・コリンズ譲りのスラップベース(「ハイヤー・グラウンド」「サー・サイコ・セクシー」等)だけでなく、時には感傷的なメロディ(「ソウル・トゥ・スクイーズ」「バイ・ザ・ウェイ」等)を奏でるペッパーズでのプレイだ。「フリーこそがレッチリのアイデンティティなんだ」アンソニー・キーディスは1994年に本誌にそう話している。「彼はこのバンドの核であって、彼なしじゃ一切成立しないんだ」




21位 ギーザー・バトラー

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ブラック・サバスへの加入直後、リズムギターからベースに転向したギーザー・バトラーは、まさに予測不可能な独自のスタイルを確立した。60年代に流行した4つ打ちパターンに馴染みがなかった彼は、アンサンブルにハーモニーを生み出し、トミー・アイオミのパートを際立たせるというギタリスト的アプローチをベースで実践した。バトラーとアイオミのタッグが生み出すビッグなサウンドは、ブラック・サバスのインパクトの秘訣だ。「ウォー・ピッグス」でアイオミのドローンめいたギターリフの背後でブルージーなリードを弾いているバトラーは、中盤のソロ部でアイオミが音を伸ばすたびに、ジャック・ブルースを思わせるジャジーなフィンガーピッキングのソロを挟み込む。1981年作「スリッピン・アウェイ」ではアイオミと交互に遊び心のあるソロを弾き、「N.I.B.」の冒頭におけるソロパート(通称「Bassically」)ではベースにワウペダルをかませるというアイディアを誰よりも早く実践するなど、自由な発想も彼の魅力のひとつだ。高度なスキルの持ち主でありながらも、バトラーは決して謙虚な姿勢を崩そうとしない。「もともとリズムギター担当だった俺は、リードギタリストが残したスペースを埋めるのが仕事だと思ってる」彼はそう語っている。「俺はベースで同じことをやってる。つまりリズムプレイヤーってことさ。俺は自分をベーシストだと考えたことはなくて、ただ曲に必要だと思えるものを添えてるんだ」


Translated by Masaaki Yoshida

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