史上最高のベーシスト50選

左からブーツィー・コリンズ、フリー、エスペランサ・スポルディング(Photographs used in illustration by AP/Shutterstock; Joseph Okpako/WireImage; Elaine Thompson/AP/Shutterstock)


12位 ウィリー・ディクスン

Paul Natkin/Getty Images

ハウリン・ウルフやマディ・ウォーターズ等も曲をカバーするなど、ウィリー・ディクスンは史上最高のブルースマンのひとりとして知られているが、それは彼の一面に過ぎない。彼はロックンロール創成期のチャック・ベリーやボ・ディドリーのレコードでベースを弾いているほか、彼が書いた「アイ・キャント・クイット・ユー・ベイビー」や「アイ・エイント・スーパースティシャス」はレッド・ツェッペリンやメガデスもカバーしている。「空き缶でできていた」というベースに夢中になった彼は、必死に貯めた200ドルほどをはたいてアップライトベースを購入した。1939年頃に「ベースの弾き方を学ぼうと必死だった」という彼は、Baby Doo CastonやHog Mason等の地元のミュージシャンたちに師事し、そのうねるような独自のスタイルはブルースの代名詞となった。「真剣にやり始めてから2〜3週間ほどで、私は今と大差ないテクニックを身につけた」彼は1980年にそう話している。チャック・ベリーから「メイベリーン」の原曲を初めて聴かされた時、カントリー&ウェスタン色が強すぎると感じたディクスンは、「深みをもたらすブルージーなアイディアとフィーリングを加えてやる」ことで、曲にロックンロールのアティテュードを吹き込んだ。「ウィリー・ディクスンは俺が最も影響を受けたプレイヤーだ」ローリング・ストーンズのビル・ワイマンはそう語っている。「彼は俺のアイドルだった。チャック・ベリーやリトル・ウォルター、ハウリン・ウルフをはじめとするChessのレコードの多くに参加してたからね」




11位 フィル・レッシュ

Bob Minkin/mediapunch/Shutterstock

グレイトフル・デッドがジャズやカントリーを取り入れることで、よりルーズでフリーフォームなロックを生み出したのと同様に、フィル・レッシュはベースのイメージを一新してみせた。デッドの結成時からベーシストとしてバンドを支え続けているレッシュは、実験音楽やクラシックを聴いて育ち、高校ではトランペットとヴァイオリンを弾いていた。彼が初めてベースを手にしたのは、デッドの前身バンドであるザ・ウォーロックスへの加入を提案された時だった。その誘いを受けた彼は、ウォーキングベースというクリシェを完全に放棄した。「僕とジェリーが作る音楽では、誰かの真似はしたくなかった」彼は2014年にそう語っている。ベースとリードを同時に弾く(ベースがメロディに寄り添っては離れる)という彼のアイディアは、ガルシアのギターと双璧をなすデッドのトレードマークだ。「トラッキン」「シェイクダウン・ストリート」「カンバーランド・ブルース」等のスタジオ音源だけでなく、名演として知られるライブアルバム『Cornell 5/8/77』での「深紅のベゴニア」や、(1975年作『One From the Vault』収録バージョンから端を発する)「アイズ・オブ・ザ・ワールド」のライブ音源の数々等でも、型にはまらない彼のサウンドを堪能することができる。




10位 ロン・カーター

Michael Ochs Archives/Getty Images

「ベース担当は最高のプレイヤー、ロン・カーター」ア・トライブ・コールド・クエストの超絶ファンキーな『ロー・エンド・セオリー』収録曲「ヴァーシズ・フロム・ジ・アブストラクト」のアウトロで、Qティップは高らかにそう告げる。ジャズとヒップホップの融合におけるマイルストーンへの参加も、60年にわたってポピュラー音楽の発展に貢献し続けているロン・カーターにとっては、無数にこなした仕事のひとつに過ぎない。2015年秋の時点で2200に及ぶ作品にクレジットされていた彼は、ジャズ史上最も多くのセッションに参加したベーシストとして、その1年後にギネスブックに認定された。その脅威的な数字はもちろんだが、彼が共演したアーティストのリストも極めて充実している。ジャズの歴史を塗り替えた60年代のマイルス・デイヴィス・クインテットへの参加、ロバータ・フラックやアレサ・フランクリンの代表曲での見事なパフォーマンス、ボサノバの先駆者アントニオ・カルロス・ジョビンの作品における優雅なリズム、さらにはバッハのスイング的解釈まで、彼の活動は多岐に渡る。地味なデュオであれ快活なビッグバンドであれ、カーターは音楽に品格を生み出すことができる。「カーター氏は比類なき耳を持つミュージシャンの1人だと思う」彼のコラボレーターであり、幼い頃から彼に憧れていたというパット・メセニーは2016年にそう語っている。「文字通り幾千というセッションに参加してきた彼は、どんなセッティングにおいても自身のアイデンティティをはっきりと示しつつ、他のミュージシャンの魅力を引き出すことができるんだ」


Translated by Masaaki Yoshida

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