ガガやアリアナの近作に貢献、無名のグラム・ロッカーがポップスの世界で成功できた理由

世代や性別を超えてあらゆるアーティストとソングライターと契約し、開拓し、指導する。

トランターはジャスティン・ビーバーの「ソーリー」を共同執筆した。この曲はビーバーの芸術的才能が成熟したことを実証した作品とみなされたアルバムからのベスト・パフォーマンス・シングルとなった。またイマジン・ドラゴンズとのコラボでは「ビリーヴァー」や「ナチュラル」といったスマッシュヒットも出している。昨年、“彼ら”は2枚のビッグ・アーティストのアルバムのソングライティングを担当した。それがアリアナ・グランデの『thank you, next(原題)』とジョナス・ブラザーズの『ハピネス・ビギンズ』だ。そして、今年はガガのアルバムもゴメスのアルバムもチャートで1位を獲得した。

2018年、デュア・リパ、カミーラ・カベロ、マシュメロ、ケシャなどの楽曲作りで多忙の中、トランターはケイティー・ヴィンテンと一緒にFacetというレコード・レーベルと音楽出版社を設立し、ワーナー・レコードおよびワーナー・チャペルとパートナーシップを結んだ。トランターとヴィンテンはFacetを「どんな人も受け入れるコミュニティ」と考えており、ここでは世代や性別を超えてあらゆるアーティストとソングライターと契約し、開拓し、指導する。

Facetを始動することで、二人は「日陰のアーティスト、ライター、プロデューサーがしっかり輝ける空間」を作ろうと思ったのだ。トランターは「以前の僕は超フェムで超クイアなロッカーだった。あの頃の僕には“ポップスでヒットメーカーとして成功する”なんてあり得なかった。そういうことが存在しない世界だから」と言う。今、ヴィンテンがトランターにしてくれたことを他の人たちにすることが“彼ら”のミッションとなっている。

アメリカ自由人権協会はトランターの活動家としての功績を讃えてビル・オブ・ライツ賞を授与した。音楽ビジネス界に絶対的に必要な多様性をもたらすために、トランターはこれからも活動に情熱を注ぐつもりだと言う。「最近はクイアを公言するアーティスト、LGBTQの若手アーティストたちが契約を得ているので喜ばしいよ。ほんと、最高なんてもんじゃない。『アメリカン・アイドル』後にアダム・ランバートがメジャーデビューしたときは、正気とは思えない論争が巻き起こったよね。あの頃は恐ろしいと感じたものだけど、そこから進歩した現状はとても気に入っている。LGBTQのエグゼクティヴの数が増えてほしいし、特に有色のLGBTQのエグゼクティヴが見たい。でも、どんなLGBTQのエグゼクティヴも歓迎だ。だって、正直な話、今の僕の頭の中には2人くらいしか浮かばないから。多様性のある人々に仕事を任せると、下部の機会にも多様性が出てくるんだよ」とトランター。

Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE