ビートルズ来日騒動、週刊誌が報じた「トンデモ記事」と誤解だらけのイメージ

「ビートルズが大混乱をひきおこす!」(『ヤングレディ』1966年5月9日号より)

1966年のビートルズ来日を、日本の週刊誌はどのように報じたのか? 今年6月に書籍『「ビートルズと日本」週刊誌の記録 来日編』を刊行した“ビートルズ日本史”研究家の大村亨が、当時の過激な(珍妙な?)記事見出しを交えつつ紹介する。

ビートルズが来日した1966年、人々が情報のよりどころとしていたのは、テレビ・ラジオ・新聞・週刊誌といったマスメディアであった。ネットが登場して以降、その影響力は低下しつつあるが、当時は圧倒的な力を持っていた。

これらメディアのうち、ビートルズ来日に関して特に熱心に報じていた(言い方を変えれば最も騒ぎ立てていた)のは週刊誌である。それは記事見出しからも明らかだ。まずは来日前のものをいくつかご紹介(いずれも1966年)。


『女性セブン』1966年6月29日号より引用

『ビートルズが大混乱をひきおこす! 手ぐすねひくファンと緊張する関係者たち』(『ヤングレディ』5月9日号)

『ビートルズ台風ただ今本土に接近中 史上最大のファン狂騒曲—安保以来の事態出現か?』(『週刊文春』5月16日号)

『ビートルズは交通整理のおまわりさんに変装して上陸する!』(『女性セブン』6月29日号)

『右翼が「亡国ビートルズ」襲撃を計画! 史上最大の警備陣突破を企てる“断髪決行隊”』(『アサヒ芸能』7月3日号)

>>>【写真ギャラリー】実際の週刊誌記事を見る

感嘆符だらけの何とも仰々しいフレーズのオンパレードである。“断髪決行隊”というのも実におぞましい。

すでに答えを知っている今の目には半ば滑稽にすら映るが、来日前の日本ではこれら記事がおとなの間で真面目に読まれていた。そして、ビートルズが来ることで日本中に大パニックが引き起こされるという世論が形成され、それを憂慮する警察が過剰な警備体制を敷くに至ったのである。

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