BiSH、コロナ禍中に生まれた3.5thアルバムという「手紙」と歌割りの新境地

ーモモコさんはレコーディングで印象的だったことはありますか?

モモコ : チッチが書いた曲で、ここを歌ってほしいとか、自分もここを歌いたいとか、そういうことを言ってくれて。例えば、「サラバかな」の歌詞をここに引用しているから、モモコとアイナに歌ってほしいって言ってくれたんです。自分たちで作っている感じもあって、いいなと思いました。

チッチ :「サラバかな」の〈これからも共に時を縮めよう〉ってアイナがいつも歌っている箇所がすごく好きで、いつも1つになっている気持ちになるんです。初期からずっと歌ってきた曲で、一緒に歩んできたなと思ったので、〈これからも共に時を縮めると約束したの〉という歌詞を3人で割れたらすごくうれしいなと思って、「アイナとモモコと歌いたいんですよね」って松隈さんに言ったら「ええやん!」って。ただ、すごく速くて難しいところをモモコが歌わないといけなくて大変だったから申し訳なかったなと思っていて。でも、それがよかったと思ってくれていて、よかったなって思いました。

ーこのメンバーにこの箇所を歌ってほしいってことも考えているのは、曲により血が通っている感じがして素敵なことですね。

チッチ : 自分の想いがこもっている曲だったので、後悔しないように言いたいことは言っておこうと思って伝えたんです。その気持ちが松隈さんにも伝わって入れてくれて本当によかったです。

ー先ほど、アユニさんに対する松隈さんのディレクションの話が出ましたけど、PEDROでバンドをしながら歌うようになった影響はあると思いますか。

アユニ : 今思うとめっちゃあると思います。音楽の深いところというか、歌だけじゃなくて、曲のサウンド1つ1つをちゃんと理解した上で歌があるというか。そういう深いところまで突き詰めてくれていたのはすごく思いました。

ーアイナさんは松隈さんから何か言われたことはありましたか?

アイナ : 今回の歌録りは、アユニから始まって、次にリンリンかアイナっていうペアで録ったイメージが大きくて。個人的に何か言われたことはあまりなくて、アユニが言われていたことを私もノートに書いて歌った感じでした。

アユニ : いつもは、アイナちゃんが歌入れの始まりなんですよ。

アイナ : そう、チッチかアイナが最初に録ってデモみたいにすることが多かったんです。今回はアユニが多くて。それがものすごい勉強になった。ヴォーカルブースって密室だから、ヘッドホンから聴こえてくる松隈さんの声だけで指示をキャッチするんですよ。だから耳に集中しないと、指示が多いとき、とっさに答えられなくて結構パニックになっちゃったりする。そこでいかに冷静にいられるかが自分の課題だったんですけど、今回はアユニが一通り先に歌ってくれて、私はみんながいる空間で耳と目と体で松隈さんの指示を最初に受け取れたので、ちょっと幅が広がったというか。そこがものすごく勉強になりました。なので、今回はいつも以上に自由に歌わせてもらえた気がします。

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