史上最高の「ムービー・バンド」25選


19位『シングルス』(1992)
シチズン・ディック

キャメロン・クロウは、昔から音楽業界と関わりの深い映画監督だ。シアトルのグランジシーンがポップカルチャーにもたらす影響を事実上予測したX世代のロマンチックコメディ『シングルス』には、クロウ監督と音楽のつながりが明確に描かれている。同作を支えているのは映画のサントラだが——同作が公開される数カ月前にはやくもヒットを記録——真の主役はマット・ディロン率いる新進気鋭のグランジロック・バンド、シチズン・ディックだ。ディロンのほかには、エディ・ヴェダー、ストーン・ゴッサード、ジェフ・アメンといったパール・ジャム(当時はムーキー・ブレイロックというバンド名で活動)のメンバーが名を連ねる。劇中歌の「Touch Me, I’m Dick」がマッドハニーの有名なシングルであることも本物らしさにこだわる同作の良い点だ。

18位『エディ&ザ・クルーザーズ』(1983)
エディ&ザ・クルーザーズ

映画『エディ&ザ・クルーザーズ』を観ると、ジョン・キャファティ&ザ・ビーバー・ブラウン・バンドに対してなんだか申し訳ない気分になってくる。エディ&ザ・クルーザーズという伝説的なバンドの隆盛を描いたミュージカル・ミステリ作品のサントラ制作を打診されたとき、米ロードアイランド州を拠点としていたジョン・キャファティ&ザ・ビーバー・ブラウン・バンドは、どうにかして音楽業界でキャリアを築こうともがいていた。同作がカルト的人気を獲得するまで時間はかかったものの(それも米HBOが何度も繰り返しオンエアしたおかげ)、サントラは瞬く間にヒットした。だが、映画ファンは劇中の楽曲がジョン・キャファティではなく、エディによるものだと思い込んでしまった。いまも、同作のサントラはジョン・キャファティ&ザ・ビーバー・ブラウン・バンド最大のヒットであり続けている。

17位『すべてをあなたに』(1996)
ワンダーズ

もしトム・ハンクスが俳優の道を選ばなかったら、音楽プロデューサーとして成功していた可能性は大きい。1996年、『すべてをあなたに』で初監督を務めたハンクスは、英国文化がアメリカを席巻したブリティッシュ・インヴェイジョンを想起させる架空のバンド、ワンダーズの力を借りて映画の原題と同名の「That Thing You Do!」という映画史上もっとも耳に残る主題歌のひとつをオーディエンスに初披露した(“Oneders”というワンダーズの別名は、たった1曲のヒットを残して消えたバンドに対する見事な皮肉でもある)。1960年代のポップスバンドで演奏するスティーブ・ザーンがあんなにカッコよく見えるなんて、いったい誰が想像できただろう?

16位『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』(2010)
セックス・ボブオム

カナダの漫画家ブライアン・リー・オマリーのコミックシリーズ『スコット・ピルグリム』を映画化したエドガー・ライト監督の『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』は、主人公スコットの恋愛をもとにストーリーが展開する。だが、ジェットコースターのようにオーディエンスをワクワクさせてくれるのは、次から次へと繰り広げられる(ときには自由奔放な)バトルアクションと劇中バンド、セックス・ボブオムの存在だ。ル・ティグラとホワイト・ストライプスとバズコックスをひとつにしたようなパワートリオの右に出るものなんていない。演奏中に繰り出されるイナズマといった漫画ふうの描写も最高!

15位『ベルベット・ゴールドマイン』(1998)
マックスウェル・デイモン&ヴィーナス・イン・ファーズ

1970年代のグラムロックシーンにオマージュを捧げたトッド・ヘインズ監督作品『ベルベット・ゴールドマイン』の主役は、ジギー・スターダストふうのロックミュージシャン、ブライアン・スレイド/マックスウェル・デイモン(ジョナサン・リース・マイヤーズ)とイギーふうの友人カート・ワイルド(ユアン・マグレガー)だ。しかし、同作のサントラの真の主役はデイモンのバックバンド、ヴィーナス・イン・ファーズである。ロキシー・ミュージックに傾倒ぎみのこのバンドの正体は、レディオヘッドのトム・ヨークとジョニー・グリーンウッド、スウェードのバーナード・バトラー、さらには本物のロキシー・ミュージックのアンディ・マッケイなどが名を連ねるスーパーUKバンドでもある。まさにグラムロックのグランドスラム的作品だ。

Translated by Shoko Natori

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