史上最高の「ムービー・バンド」25選


25位『シング・ストリート 未来へのうた』(2016)
シング・ストリート


『ONCE ダブリンの街角で』(2007)のジョン・カーニー監督の最新作のタイトルにもなっているバンド、シング・ストリートは、1980年代のポップス版ザ・コミットメンツといえるだろう。いたるところに感じられるデュラン・デュランの影響から、登場しては消えるふんわりヘアのアイコンまで、当時の素晴らしさを教えてくれる映画だ。ときはMTV黎明期で、主人公はコナーというアイルランド在住のティーンエイジャー。周囲とうまくなじめないコナーは、女の子の気を惹くという古典的な目的のためにバンド結成を決意する。下心見え見えのコナーの動機にもかかわらず、クラスメートたちはいくつかのキャッチーな楽曲と最先端のDIYミュージック・ビデオの制作に成功。ダンスパーティーのシーンを描いた劇中歌「Drive It Like You Stole It」のミュージック・ビデオが当時MTVのBuzz Binで取り上げられなかったのは残念すぎる。

24位『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)
マーヴィン・ベリー&スターライターズ

本当なら、マーティ・マクフライ&スターライターズと呼ぶべきところだ。というのも、チャック・ベリーの従兄弟という設定のスターライターズのリードシンガーのマーヴィン・ベリーに“懐メロ”とエディ・ヴァン・ヘイレンふうのいくつかの超絶テクニックを教えたのは、マイケル・J・フォックス演じるタイムスリップ高校生のマーティ・マクフライなのだから。その結果、マーティは両親を無理やり両想いにさせて未来の自分が消滅するのを防いだだけでなく、事実上ロックンロールの先駆者となった(リビアの過激派とドクのプルトニウムについて語るのは、別の機会にしよう)。

【関連】マイケル・J・フォックス『バック・トゥ・ザ・フューチャー』秘蔵インタビュー

23位『ロック・スター』(2001)
スティール・ドラゴン

1980年代の大御所メタルバンド、スティール・ドラゴンの熱狂的なファンからリードシンガーに転身したクリス・“イジー”・コール役のマーク・ウォールバーグは、スタジアムいっぱいの音楽ファンの前でまったく臆することなくパフォーマンスを披露した。ジューダス・プリーストのリードシンガー、ロブ・ハルフォードの代役をいっとき務めたティム・“リッパー”・オーウェンズの実話をもとに製作された『ロック・スター』はどちらかといえば駄作の部類に入るが、音楽だけは完璧だ。ウォールバーグとドミニク・ウェスト(HBOのクライムフィクション・ドラマ『THE WIRE/ザ・ワイヤー』でジミー・マクノルティを演じているウェストの完璧なヘビメタオタクっぷりは圧巻)といったキャストのほか、バンドメンバーのほとんどはジェフ・ピルソン(元ドッケンのベーシスト)、ジェイソン・ボーナム(故ジョン・ボーナムの息子)、ブラック・レーベル・ソサイアティのザック・ワイルドなどの本物のミュージシャンが演じている。ぜひ、メタルの世界観を堪能してほしい。

22位『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(2005)
ウィアード・シスターズ

ありとあらゆる魔法や空飛ぶ箒でプレイするクィディッチなど、マグル(訳注:魔法を持たない普通の人間)には理解不能なホグワーツ魔法魔術学校の架空の世界にクールなオルタナティブロックバンドが存在するなんて意外かもしれない。ここで、ウィアード・シスターズの登場だ。イギリスの作家J・K・ローリングの『ハリーポッター』シリーズを原作とした映画のシリーズ4作目には、リードボーカルにパルプのジャーヴィス・コッカーを、そしてレディオヘッド、All Seeing I、Add N to (X)のメンバーといった見事なブリット・ポップのスターたちが集結し、魔法使いの少年少女たちの前で「Do the Hippograff」を披露している。何それ? という人は、ビートルズのヒット曲をモチーフにした青春ラブコメ『キャント・バイ・ミー・ラブ』(1987)の「African Anteater Ritual」のハリポタ版を想像してみよう。

21位『ワイルド・パーティー』(1970)
キャリー・ネイションズ

アメリカの作家ジャクリーン・スーザンのベストセラー小説『人形の谷』(1966)を原作としたマーク・ロブソン監督の映画の大ヒットから3年。セックスを産業化したレジェンド、ラス・メイヤー監督とのちにピュリツァー賞を受賞するロジャー・イーバートがタッグを組み、セックスとドラッグとロックンロール漬けの3ピースガールズロックバンドのライフスタイルを描いたサイケデリックな続編を製作した。まさかりでアルコール店を叩き壊したことで知られる前禁酒法時代のアメリカの禁酒主義活動家キャリー・A・ネイションに由来するバンド名にふさわしく大胆不敵な彼女たちは、保守主義とは程遠い存在だった。映画化にこぎつけたことに驚きながらも脚本を務めたイーバートは、「オープニングのタイトルバックにもあるように、“ときに悪夢にもなり得るエンターテイメント業界”をさらけ出す、風刺、真剣なメロドラマ、ロック・ミュージカル、コメディ、過激なB級映画、ポルノ映画、道徳(当時はシャロン・テート殺害事件の直後だった)といった要素をすべて揃えた作品であるべき」とかつてメイヤー監督が語っていたことを明かした。

20位『グリーンルーム』(2016)
エイント・ライツ

現代版エクスプロイテーション映画(訳注1970年代にアメリカで生まれた映画のジャンルで、金銭的利益のために社会問題や話題の題材を利用する傾向がある)の名作と呼べる『グリーンルーム』の撮影前、ジェレミー・ソルニエ監督は架空のパンクバンド、エイント・ライツのメンバーを演じるカラム・ターナー、英BBCのギャングドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』のジョー・コール、米FOXのコメディドラマ『アレステッド・ディベロプメント(ブルース一家は大暴走!)』のアリア・ショウカット、そして故アントン・イェルチンをパンクロックのブートキャンプに送り込んだ。その成果は明確だ。ハードコア4人組によるデッド・ケネディーズの「Nazi Punks Fuck Off」の堂々たるパフォーマンスはまさに必見。部屋いっぱいのネオナチのスキンヘッドたちの前で披露していることを踏まえると、なおさら鳥肌が立つ。

Translated by Shoko Natori

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