The 1975も魅了したオルタナ新世代、ビーバドゥービーが語る「はみ出し者」の音楽人生

孤独な学生時代を救った音楽の力

本来であれば、クリスティはThe 1975の北米アリーナツアーのオープニングアクトを務めるはずだった。この組み合わせは意外に思える。片や内気なティーンエイジャーで、ダイナソーJr.がモルディ・ピーチズと出会ったようなサウンドを奏でる。片や派手なシンセポップを演奏する4人組で、政治的な風刺が存分にこめられた歌詞はレディオヘッドも顔を火照らせそうなものだ。しかし、The 1975につく熱狂的な信奉者のごとく、最初期のリリース以来、彼女も同じような熱気に囲まれてきた。「Coffee」は彼女の最初のヴァイラル・ヒットだが、この2月には二度目の人生を歩み始めたところだ。カナダのラッパー、Powfuのシングル「death bed (coffee for your head)」にサンプリングされたためだ。この曲はTikTokで話題になり、再生回数は1カ月で41億回に達して、Blink-182の参加するリミックスまでつくられた。「『マジか、みんな私の曲もっと聴きたがってるんだ』って気づいた」と彼女は語る。



成長するとクリスティはカトリックの女子校に通ったが、フィリピン系の生徒が自分ひとりだったために、馴染むのがとりわけ難しかった。「何を着たらいいかも本当にわからなくなってしまっていたのを覚えてる」と彼女は語る。「その当時の自分には、凄い居心地の悪さを感じてた」

初期の影響源のひとり、キミヤ・ドーソンによる辛辣な生活を切り取ったフォークソングに出会ったのは、2007年の映画『JUNO/ジュノ』を宗教教育の授業で観たときのこと。「先生たちは『これは10代での妊娠を描いた映画です。観てみなさい、こんなふうになりたくないでしょう』って感じだった。でも私は『ヤバい、この映画すごくいいし、音楽もすごくいい』って」


ビーバドゥービーが自身の影響源をまとめたプレイリスト



そのうちクリスティは音楽を通じて癒やしと友情を見つけ出し、ひいては音楽は自分を受け入れる手立てにもなった。ビーバドゥービーとしてリリースした最初のEP2枚は、「Coffee」やカレン・Oの「The Moon Song」のカバーに成功をもたらした方程式を踏襲したものだ。シンプルなギターのコードに、エコーたっぷりのプロダクション。メランコリックな歌詞はツイートのようでもある。ときおり、彼女は違うことにも挑戦した。EP『Patched Up』に収録された「If You Want To」では、彼女は自分のギターをアンプにつなぎ、少しドラムを足したうえ、ボーカルのデリバリーはもっと主張が強くなっていた。「私を理解したいのなら/どうぞ、私の頭に入ってみて/経験に勝るものはないから/ベッドのなかで金縛りにあうんだ」

2019年の『Loveworm』EPでは、90年代にインスパイアされたサウンドに挑戦した。マイ・ブラッディ・ヴァレンタインやソニック・ユースのもやがかったリヴァーブであったり、ライフ・ウィズアウト・ビルディングスやエリオット・スミスといったアクトの鋭敏なソングライティングを参照した。ちなみに、エリオット・スミスについて言うと、彼女は腕に“XO”のタトゥーを入れている。

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