英国人エグゼクティブが音楽業界を牛耳っている理由とは? イギリスとアメリカの関係

過去5年間で、イギリス国内で最もシェアを落としたジャンルは?

3. ヒップホップの人気はイギリスでも上昇を続けているが、まだ最も人気のあるジャンルにはなっていない

アメリカにおいては、ヒップホップの人気はもはや不動のものとなっている。Alpha Dataの年間レポートによると、去年アメリカで最も再生された楽曲トップ10のうち6曲がヒップホップ/ラップに分類されている。また上位100曲では、同ジャンルの曲が実に52パーセントを占めている。

イギリスでのヒップホップ人気はそのレベルにこそ達していないものの、勢いは確実に増している。BPIの統計によると、ストームジーやデイヴ等のイギリス出身のアーティストを筆頭に、2019年のUKチャートの対象となったシングル売上のうち、全体の21.5パーセントがヒップホップ/ラップに分類されている(ここでいうシングル売上には、ダウンロード販売とストリーミングの両方が含まれる)。2018年における同カテゴリーのシェアは20.9パーセント、2017年には15.4パーセント、2015年の時点ではその半分である11.0パーセントに過ぎなかったことから、その人気が着実に拡大していることがわかる。

しかしイギリスのシングルチャートにおいては、今なおポップが最も人気のジャンルとなっており、ヒップホップのシェアを2位に押しとどめている。All About the Musicによると、ポップは2019年のシングル売上の33.1パーセントを占めており、その数字は前年の32.2パーセントから増加している(ただし、36.5パーセントを記録した2017年からはやや低下している)。

過去5年間で、イギリス国内で最もシェアを落としたジャンルはダンス/エレクトロニックだ。同カテゴリーは2016年の時点ではシングル売上の15.4パーセントを占めていたが、2017年には11.6パーセント、2018年は9.5パーセント、2019年では9.1パーセントと減少し続けている。この数字は2019年のセールス/ストリーミングにおけるヒップホップのシェアの半分以下であり、ポップの3分の1以下となっている。

・著者のTim Inghamは、Music Business Worldwideの創設者兼出版人。2015年より、世界中の音楽業界に最新情報、データ分析、求人情報を提供している。毎週ローリングストーン誌でコラムを連載中。



Translated by Masaaki Yoshida

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE