DMA'Sが語る新境地、ブリットポップからエレクトロニックへの驚くべき進化

過去2作においては、そのマッドチェスターとオルタナティヴ・ロックを折衷させたような音楽性もさることながら、何よりもアンセミックなコーラス・パートに定評があったDMA’S。そんな彼らのキャッチーなメロディラインはもちろん『The Glow』においても健在で、今作はそこに90年代初頭のレイヴやアシッドハウス、ユーロダンスなどを彷彿させる、パワフルなエレクトロニック・ビートが加わっているのだ。

「(今作をつくるにあたって)僕らがよく聴いていたのは、ケミカル・ブラザーズとアンダーワールドだね。特にアンダーワールドは、オランダのLawlands Festivalで観て以来、大ファンなんだ」


Photo by Mclean Stephenson

ダンサブルな楽曲のインパクトに耳がいきがちだが、『The Glow』にはアコースティック・サウンドを多分に含んだ、叙情的な楽曲もいくつか収められている。この動と静を行き来するような構成は過去2作との共通点でもあり、そこにはアルバムというアートフォームに対する彼らのこだわりが見て取れる。

「アルバムをつくるうえで僕らがいつも大切にしているのは、それを聴いているとまるで旅をしているかのような気分になれるってこと。1曲目の『Never Before』でギターとシンセサイザーのミックス具合、トーンを定めて、このレコードのグルーヴ感をまず示す。そして、そこから先にはもっとエネルギッシュな曲もあれば、その合間にバラッドが入ってきたり、ひとつひとつの楽曲にそれぞれ異なる雰囲気があるっていうね。僕らのアルバムではそこが重要なんだ」



スチュアート・プライスという強力なプロデューサーも手伝い、3作目にして音楽的新境地を切り開いたDMA’s。彼ら自身も今作には大きな手応えを感じているようで、ジョニーも「次作はもっとエレクトロニックになるかもね!」と語ってくれた。

COVID-19が世界中で猛威を振るい続けている2020年。その影響はもちろんDMA’sの活動にも影響を及ぼしており、現在は予定されていたツアーもままならない状況だ。しかし、こんな誰もが不安を抱いている状況だからこそ、彼らは『The Glow』という作品を放つことの意義を、より強く感じているのかもしれない。ジョニーはこのアルバムのタイトル・トラックに込めた想いを最後に語ってくれた。

「『The Glow』のヴァースは、じつはキャリア初期の頃にはもうすでに書いてたものでね。これは音楽と人生にもっと多くのことを求め、耳を傾けてもらおうという内容なんだ。そういった活力がぼくらの人生にどれほど必要なのかってことを、『The Glow』は伝えているんだよ」






DMA’S
『The Glow』
発売中
http://silentrade.lnk.to/TheGlow

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