憂歌団とTHE BLUE HEARTSのライブ盤から見る日本のブルース

青空 / THE BLUE HEARTS

1988年にリリースされた3枚目のアルバム『TRAIN-TRAIN』の中の曲です。西部劇ですよ、騎兵隊とインディアンが出てきます。1970年代以前、アメリカのハリウッド製の西部劇映画というのは騎兵隊がインディアンを征伐するというストーリーだったんですね。1960年代の終わりからアメリカのニューシネマが出てきて、騎兵隊の人はインディアンを侵略したんじゃないか?インディアンにも生存権があるという新しい歴史観の西部劇がたくさん生まれました。この「青空」でも、”生まれたところや皮膚や目の色で何がわかるというんだろう”と歌っております。今のニュース、特にアメリカの人種問題そのもののような歌ですね。これは1992年6月の武道館の演奏なんですね。1996年のライブアルバム『LIVE ALL SOLD OUT』からお聴きいただきました。でもTHE BLUE HEARTSの解散は1995年、ライブアルバムは解散発表後に発売されている。活動としては1994年のライブが最後だったわけで、バンドの存続中にライブアルバムは出なかったんだなあと今回改めて気づきましたね。ライブアルバムという形よりも、生のライブだというのが彼らの心意気だったんではないかなと思いながら、その熱気を感じていただこうと思います。「キスしてほしい」、「終わらない歌」二曲続けてどうぞ。

キスしてほしい / THE BLUE HEARTS
終わらない歌 / THE BLUE HEARTS

どちらも1992年6月の武道館ライブ公演からです。THE BLUE HEARTSは、甲本ヒロトさん、真島昌利さん、河口純之助さん、梶原徹也さんの四人組ですね。作詞作曲がヒロトさんとマーシーさん。この2人はピュアですね。ロックンロールの一番シンプルな形とピュアな衝動を持ち続けてる2人です。マーシーさんはギタリストですから、キース・リチャーズとかチャック・ベリーなどのロックン・ロール。ヒロトさんの音楽の目覚めは中学生で出会ったセックス・ピストルズで、パンクですね。日本のバンドだとシーナ&ザ・ロケッツでした。でも私がヒロトさんを改めて好きになったのは、エルヴィス・プレスリーの故郷であるメンフィスを訪ねた時でした。心からロックンロールが好きだっていうことと、エルヴィスの生誕地を訪問することの興奮がすごく初々しく伝わってきて。僕もエルヴィスからロックに入った人間として、年代を超えてると思った記憶がありました。

Rolling Stone Japan 編集部

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