中国がコロナウイルスを「兵器化」させた 米政権幹部が陰謀論を力説

ホワイトハウス通商担当顧問のピーター・ナヴァロ氏(MSNBC/Screencap)

いまや爆弾発言で有名な米ホワイトハウスのピーター・ナヴァロ通商担当顧問は、中国がアメリカ人を殺害するために何らかの方法でコロナウイルスを「兵器化」させたと、3日の現地TV番組で発言した。

中国が「ウイルスを生んだ」とナヴァロ氏。「彼らはウイルスを隠し持っていました。数十万もの中国人をアメリカに送り込み、知らぬ間に拡散していたのです」

この発言に、MSNBCの司会者アリ・ヴェルシ氏は当然の質問を投げた。「一体何をおっしゃっているんです?」

ナヴァロ氏は再び持論を繰り返し、WHOまで持ち出して、さらに陰謀論をぶちまけた。「ウイルスを生んだのは彼らです」と同氏。「世界保健機関の陰に隠れて、世間の目からウイルスとパンデミックの可能性を隠していたのですよ」

大統領顧問は、またもや何の根拠も示さぬまま、中国が意図的にウイルスを拡散した一方で「20億枚のマスクなど、世界中の保護具を吸い上げた」と語ると、さらに「彼らは意図的にアメリカやイタリア、その他いろいろな場所に感染した中国人を送り込み、その一方で(国内の)交通網を閉鎖していたんです」と主張した。

ナヴァロ氏は、季節が変わってもウイルスが消滅しないことに疑惑の目を向けた。

「誰もがこう思いました――当然の推測だと思いますが――夏が来れば、高温と湿度でウイルスはなくなるだろうと。そんな風にはなっていません。これは間違いなく兵器化されたウイルスなんですよ」とナヴァロ氏。

【動画】「コロナウイルスを生んだのは中国」と真顔で断言するピーター・ナヴァロ通商担当顧問

最後に、ウイルス対策の遵守とマスク着用を繰り返す米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチ博士について発言の場を与えられると、ナヴァロ氏は博士をやりこめるチャンスだとばかりに、今年初めに自分が中国からの入国禁止を最初に提案した際に彼は賛同しなかった、と非難を並べ立てた。

「ファウチ博士の話ですね、いいでしょう。今回の件でなぜ彼の言葉をうのみにするべきではないか。1月28日、すでにご存じのように、私は中国ウイルスによる世界的パンテミックによって数百万人が死ぬ可能性がある、と警告する趣旨のメモを作成しました。偉大なるアメリカ合衆国の大統領が中国からのフライトをすべて禁止した、まさに同じ時期です」と言って、ナヴァロ氏はさらにこう続けた。「作戦指令室で私に反論したのは誰だと思います? アンソニー・ファウチ博士ですよ。ファウチ博士はまさにこの時期、その後2カ月間も、アメリカ国内には問題はないと言い続けていたんです」

この番組で繰り広げたナヴァロ氏の中国バッシングは12分間の狂気の沙汰だった。だが熱狂的な大統領の支持者のほかに、こうした茶番劇を誰が真に受けるだろう? どう見ても観客は限られている。トランプ大統領の支持率が下降線をたどり、コロナウイルス感染者数が上昇し続ける中、こうした動きはボスを喜ばせる以外に何の効果もない。おそらくナヴァロ氏も1人の観客にむけてアピールしたのだろうが、余りある大統領の太鼓持ちの中でこうした行動に出たのは彼が初めてではない。悲しいかな、これが最後でもないだろう。

Translated by Akiko Kato

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