VRはコロナ時代のコンサートの新形態となり得るか?

ゲーミフィケーションを用いたVRライブプラットフォームでのイベントの様子


フランスを拠点とするVrRoom(同社はVRChatというプラットフォーム上でジャールのイベントを実現)のようなVR会社のなかには、アバター主体のコンサート空間を重視している会社もある。同社のルイ・カシウットーロCEOは、現在VRを使ったオペラ公演に取り組んでいる最中で、ヨーロッパ中のエレクトロミュージック・フェスティバルからも同社のプラットフォームを使用したいという問合せが来ていると述べた。

その一方、イギリスを拠点とするMelodyVRは、360度カメラを使って視聴者にアニメーションではなく、リアルな映像を提供している。パンデミック以前からMelodyVRはアーティストのライブイベントのVR版をオンエアしていた。このコロナ禍でMelodyVRが開催したコンサートの回数は、昨年の同じ時期と比べて最大で10倍増加し、アプリのダウンロード件数はパンデミック当初以来1000%アップしたと同社のアンソニー・マチェットCEOは語る。MelodyVRはコロナ禍において無料コンサートを実施してきたものの、この状況が続けば有料コンテンツの復活もマチェット氏は視野に入れている。同社はロサンゼルスとロンドンで隔離されたパフォーマンス空間をオープンし、アーティストたちに質の高いイベントがストリーミングできる場を提供している。

「私たちは、アーティストに舞台の上で完璧なライブプロダクションを行なってほしいと考えました。ですから、これは誰かがソファに座りながら発信するありきたりなイベントとは違うのです」とマチェット氏は言う。「パンデミック当初は、手軽なストリーミングにはそれなりの意義がありましたが、いまでは誰もがこの手の配信に飽きてしまったように感じます。私たちが手がけるすべてのコンテンツ同様、いまは何かしらのプレミア感を加えるのが重要です」。同社の音楽シリーズ番組『Live From LA』にはジョン・レジョンドのみならず、ジョジョやサイプレス・ヒルも出演しており、同社は24KGoldnやサウィーティーなどのラッパーをフィーチャーしたWireless Festivalのバーチャル版ともパートナーシップを結んでいる。

テクノロジーという分野には、まだまだ伸びしろがある。たしかに、マニアックすぎるVR体験には使いにくさや故障といったイメージがつきまとうし、VRヘッドセットだってそこまで普及していない。WaveがVRへのフォーカスを若干緩めた理由は、この数年においてはまだVRが主流になることはないと判断したからだ。それまでWaveにとってゲーミフィケーションを活用したコサートは、VRにさらなる注目が集まるまでの移行手段としての消費者のための優れたエントリー商品であり続ける。MelodyVRも主力の視聴オプションとしてヘッドセット使用を推奨するものの、VRがメインストリームになる日はまだ先だと考えている。

より多くのオーディエンスを自宅から取り込めることはもちろん、ライブストリーミングはファンとつながる方法を模索する多くのメジャーアーティストたちから恩恵を受けてきた。ロックダウン後も「これから数年は違ったツアー活動が求められます。それと同時に、VRイベントに対する消費者の意識も変化するでしょう」とマチェット氏は言う。「たいていの場合は、触媒のようなイベントがきっかけになります。目の前にあるのに直視を迫られるまで人々は気づけない、そんなこともあるのです」。

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Translated by Shoko Natori

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