世界的ヒットメイカーの仕事術とは? ジョシュ・カンビーに学ぶ音楽づくりの最先端

ジョシュ・カンビー(Courtesy of avex)


日本との関係、ソロとして描く感情の機微

―昨年、avexとレコーディング・アーティスト契約を結んだそうですが、日本のレーベルとの関係はどのように始まったんですか?

ジョシュ:実はマネージャーが20年くらい前、日本に住んでいて。彼はその頃にavexと組んで、Velfarre(六本木のクラブ、2006年閉鎖)のアフターアワーズ・パーティをスタートさせたりしたそうだ。

―サイバートランスとかが流行ってた頃ですね、懐かしい。

ジョシュ:その頃の繋がりは今も続いていて。avex発でグローバル展開していく洋楽アーティストを探していたところに、(マネージャーが)僕の曲をプレゼンしてくれたというわけ。

最近のアメリカでは、レーベルがアーティストをほとんど育てなくなった。僕の友人周りでも、契約できて喜んでいたのに、放ったらかしのまま年単位で時間が過ぎていったケースを結構聞く。そんなご時世だからこそ、avexの姿勢に好感を抱いたんだ。レーベルとしての実績もあるし、アーティストをローンチから継続的にサポートしている。そういうところから声がかかったのは光栄だよ。僕にとってこの新しい関係は、人生最大のバズのひとつだ。

―じゃあマネージャーさんを通じて、日本には馴染みがある?

ジョシュ:彼は大阪の「MUSIC CIRCUS」ってフェスの仕事もしているんだ。だから日本の話はよく聞かされていた。「日本は地球上で最高に驚異的な場所だ。未来って感じがする。絶対に圧倒されるぞ」って。行ってみたらその通りだったよ(笑)。一度行ったらもう夢中。日本は最高だね。カルチャーも魅力的だし、言葉も思ったほど難しくなさそうだ。イマ、ニホンゴヲ、ベンキョウシテイマス!



ー話している声のトーンは快活ですが、ソロでの歌声は儚く繊細で、楽曲にもパーソナルな内省を感じます。これまで発表してきたシングルについて聞かせてください。

ジョシュ:「Sound Of You Name」は、大親友のジェイ・デントンと一緒に書いたんだ。たまたまお互い辛いことがあって傷ついていた時期に、別れた誰かの名前を思いがけないところでフッと耳にすると、ものすごく動揺するよねって話をして。スターバックスで注文した人の名前が呼ばれたときに、思わずドキッとして振り返ってしまったり。名前と一緒に蘇る記憶が辛かったり嬉しかったりで、押しつぶされそうに重たい……なんて話を2人で延々、何日も繰り返ししてたんだ。

―辛い歌が多いみたいですね。「Brave Enough」も乗り越える歌だし。

ジョシュ:「Worth Missing」もそういう類のテーマだね。大事な人を失った時に、それを嘆いたり恨んだりして、いつかそれを乗り越えたあと、またその人や思い出を愛おしく思えるようになる……そういうプロセスって、人として味わえる最も美しい感情の移り変わりだと思うんだ。僕はたまたま曲を書けるから、それを形にして表現できるのは本当に素敵なこと。別に誰かの指針や道標になろうとは思わないけど、「僕の場合はこうだったよ」というね。


「Worth Missing」のMVは東京のストリートで撮影。「僕が思う東京はすごく慌ただしくて、目が回りそうで、人が多くて、なのに不思議と静かで、混沌としているのに穏やかで……そういう感覚をカメラで捉えることができたら、すごく特別なものになりそうな気がしたんだ。僕のアイディアを踏まえつつ、監督がコンセプトをまとめてくれた」

―今後はアルバムも期待できそうですか。

ジョシュ:とりあえず、他にもシングルを発表する予定だよ。ただ、こういう状況だからね。状況を鑑みて調整し直さなければならないかもしれない。今の世界は余裕がないからさ。誰もがニュースを見ながら不安になっているところに、隅っこから飛び出して「こっち見て! 新しい曲を出したんだよ!」とはしゃぐ人にはなりたくない(笑)。

―でも、そんな状況だからこそ、曲を聴いて癒される人も多いと思いますよ。

ジョシュ:ありがとう。その話でいうと、少し前に(1930年代の)大恐慌時代の音楽や映画に興味を持って、いくつか本を読んでみたんだ。なんでも大恐慌を脱け出した直後、アメリカでは毎週8000万人が映画館に足を運んだらしい。

―へえ!

ジョシュ:現実のものではない何かに、感情的な繋がりを求めたわけだ。とてつもなく悪いことが起こったあと、「世界が変わってしまった!」という当初の衝撃を乗り越えたら、見えなくなっていた素敵なものがまた見えてくるんだろうね。そして大丈夫だって思えるようになっていく……そこに至るまでの優れた逃避を、音楽は提供しうると思う。

―最後に、何か言っておきたいことがあれば。

ジョシュ:まずはぜひ、僕の曲を聴いてみてほしい。気に入ってもらえたら嬉しいけど、そうじゃなくてもレスポンスをもらえると有り難い。僕は感想を聞くのが楽しみなんだ。気に入らないという声があっても平気。次はもっと頑張るから(笑)。




ジョシュ・カンビー
3rdシングル「Worth Missing」
配信リンク:https://avex.lnk.to/JoshCumbee703



2ndシングル「Brave Enough」
配信リンク:https://avex.lnk.to/JoshCumbee0313

1stシングル「Sound Of Your Name」
配信リンク:https://avex.lnk.to/JoshCumbee0214

ジョシュ・カンビー日本公式サイト:https://joshcumbee.jp/

Translated by Kazumi Someya

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