尾崎豊とCHAGE and ASKA、国立代々木第一競技場をめぐる2組のライブ盤を検証



流れているのは、この番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説(レジェンド)」です。この2枚のアルバムに共通している事がありまして、”代々木オリンピックプール”という言葉が使われているんですね。まだ、オリンピックプールという印象が強かった時代ですね。CHAGE and ASKAが1983年、尾崎豊さんが1985年と2年しか経っていないんですけど、それまでは東京には1万人クラスの会場が武道館しかなかったんです。代々木ができて、大規模ライブのシーンが変わりましたね。1985年は、ブルース・スプリングスティーンの「ボーン・イン・ザ・USA」のライブがあったんですよ。それも見に行ったんですが、日本の観客が「ボーン・イン・ザ・USA」のサビだけ大合唱しているシーンが、どうも妙だったんです。そのことについて、デイヴ・マーシュという人が1980年代のスプリングスティーンを描いた『明日なき暴走』という本の中で触れておりまして、日本のロックファンにとってロックはファッションだ、それが生活の中にあるとか言葉の意味を理解しているわけじゃないんだって書いていたんですね。それを見てムカつきました。そうじゃないんじゃないか? 日本には浜田省吾がいるじゃないかと思って、彼のことを書こうと思ったんですけど、日本には尾崎豊もおりましたね。代々木第一国立競技場は、改装されました。それまでの耐震規格を満たしていなかったんですね。何かあったら大変なことになっていたかもしれませんが、今は問題ありません。床がコンクリで厚くなりました。さて、このライブ盤特集は来月もやります。ご好評いただいたということではなくて、このままでは終われなくなってしまったということが正直なところでもあります(笑)。来月もライブ盤特集です。



<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

Rolling Stone Japan 編集部

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