尾崎豊とCHAGE and ASKA、国立代々木第一競技場をめぐる2組のライブ盤を検証

CHAGE and ASKA。1996年6月、イギリスでのライブの様子(Photo by Brian Rasic/Getty Images)




1985年11月15日に代々木国立第一競技場で行われたライブ「LAST TEENAGE APPEARANCE」から「15の夜」。反抗のカリスマに祭り上げられた曲がこれでしょうね。よくお聴きになると、「自由になれた気がした」と歌っているわけで、これで自由になれるとか、自由になろうと歌っているわけではないんですね。彼はそういう安易な呼びかけをしたことがないアーティストです。「卒業」もそうですね。「早く自由になりたかった」、「卒業して何がわかるというのか」という永遠の疑問符の歌です。でも、校舎の窓ガラスを割るとか盗んだバイクで走り出すとか、そういうところが強調されて、そこが一人歩きをしてしまって、尾崎豊は反抗のヒーローになっちゃったんですね。そういう色々な今ある自分や、周りの価値観と抗いながら戦いながら自分であろうとした彼の一生ですね。この時、既にこういう歌を歌っていました。このライブのアンコール最後の曲がこれでした。「シェリー」。



尾崎豊さんのアルバム『回帰線』の最後の曲でもありましたね、コンサートもこれで終わっておりました。初めてこの曲を聴いた時、尾崎さんのライブを見た時、この打ちのめされたような、放心したような、呆然としたような、体が震えるような……。ああいう経験は未だにした事がないですね。こんなに身を削って歌うシンガー、こんなにステージで苦しそうに、自分の血を塗りたくっているようなライブをやる若者がいるんだと。価値観が変わりましたね。時代が変わったとか、そういうのを超えた何かがあったような感じがしました。存在自体がドキュメンタリーというんでしょうか。この代々木のライブの打ち上げがありまして、尾崎さんは当時の事務所の社長とレコード会社の担当の人の名前を挙げて、音楽業界に革命を起こしますと言ったんですね。19歳のひたむきな、純粋な正義感だったんでしょう。それが裏切られたと思った時に、どういう反動が来たということも彼の生涯の中で大きなエポックだったんではないかなと思ったりしております。尾崎豊さん、最後のライブも代々木だったんですね。これは『約束の日』というライブ盤、Vol.1と2で発売されております。『LAST TEENAGE APPEARANCE』と聴き比べると、彼の生涯がちょっとだけ分かるかもしれません。お聴きいただきましたのは、尾崎豊さんの代々木でのライブアルバム『LAST TEENAGE APPEARANCE』から「シェリー」でした。

Rolling Stone Japan 編集部

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