警官の自虐ネタがTikTokで人気、当事者たちはBLMとどう向き合う?

自虐的なジョークで若者とつながろうとするTikTokの警官たち――だが抗議活動が全米に広がる中、それもほぼ不可能になりつつある。(Photographs in illustration by Griffin Lotz and Shutterstock)



ポジティブなものを発信して、ネガティブなものとは距離を置きたい

にもかかわらず、今は警察の顔としてニコニコ笑顔を振りまくのは難しい。TikTokの警官たちも、自分たちがどんなに望んでも、議論から距離をおけずにいる。例えばダニエル氏の場合、ジョージ・フロイドさんの動画についてどうしてもInstagramで物申さずにはいられなかったそうだ。彼は団結のあかしとして、TikTokに古い動画を投稿した。昔子どもたちにフットボールを教えてきたときの動画で、教え子の1人は黒人だった。動画を投稿したのは警察の人種差別への批判に対する予防策だ、と責める声もあったが、効果は十分にあった。息子がセント・ジュード病院でガンの治療を受けている友人の警官についての動画も投稿した。「大勢の人々が『悪い警官はサポートしないが、いい警官は応援する』と言っています。今こそプラットフォームを活用して、『さあ、いい警官はここにいますよ』と言うべきだと思ったんです」

コルテス巡査のもとにも、定期的にBlack Lives Matter運動についてどう思うか、という意見が寄せられるそうだ。彼は個々のコメントには返答するようにしているが、TikTok動画で取り上げることは控えている。彼のごく最近の投稿は、フロイドさんの動画や運動には一言も触れず、Eric Prydzの「Call on ME」に合わせて踊る動画だった。「抜本的な変化を起こすために、(世間は)僕に何を言ってほしいのでしょう? 一体どうしろと?」。警察の暴行に反対の声をあげてほしい、というユーザーの要望に応えない理由を尋ねると、彼はこう答えた。「僕にできる唯一のことは、職場に行って、最善を尽くして、すべての人を平等に扱うことだけです」

一部ユーザーから声を上げるべきだとつつかれても、大多数のユーザーは以前と同じ自分を望んでいる、と彼は言う。根本から壊れ、明らかに暴力的で、もともとが人種差別的なシステムの広告塔としてではなく、わずかな腐ったリンゴに支配されたメディアサイクルから現れた面白おかしい奴として。拡散とアルゴリズム重視のTikTokの特性のおかげで、彼は比較的容易にそうした自分を演出することができる。「ポジティブなものを発信して、ネガティブなものとは距離を置きたいんです」と彼は言う。

【動画】FOXニュースの白人司会者、黒人の出演者が人種差別問題を語りはじめた途端に大声で遮る


Translated by Akiko Kato

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