警官の自虐ネタがTikTokで人気、当事者たちはBLMとどう向き合う?

自虐的なジョークで若者とつながろうとするTikTokの警官たち――だが抗議活動が全米に広がる中、それもほぼ不可能になりつつある。(Photographs in illustration by Griffin Lotz and Shutterstock)



ジョージ・フロイドさんの事件が与えた影響

狙いは、見た目はタフだが心優しい平和の守護神、という警察官のイメージを広めること。たとえTikTokに出回っているイメージが現実とは相容れないとしても。アンソニー・ジョンソン巡査がいい例だ。120万人のフォロワーを抱えていたアカウント「@ohnoitsdapopo」ことアンソニー・ジョンソン巡査は、昨年丸腰の男性の顔を殴る姿を動画にとらえられ、内部調査を受けた(内部調査の結果、ジョンソン巡査は不正行為の容疑を免れた。ジョンソン巡査にコメントを求めたが、返答は得られなかった)。

こうしたスタンスには、自衛という意味合いも少なからずある。「我々VS世間、というメンタリティが警察にはあります。自分たちの生活について誰も分かってくれない、という感情です」と言うのは、ニューヨーク市立大学ジョン・ジェイ・カレッジ法医学部のジム・マルヴェニー准教授だ。「とくにTVをつけるたびに悪徳警官が目に飛び込んでくるような緊張状態が高まっている時期は、誰もが過剰に反応するようになるでしょう。各種ソーシャルメディアのフォーラムが、かつては許されないと思われていた主張の場を(警官に)与えてくれたのです」

#HumanizingTheBadge運動の隠れた主要テーマのひとつが、警察の機能を政治と切り離すというものだ。ダニエル氏は、できるだけ政治的コンテンツを投稿しないようにしているそうだ。コルテス巡査もしかり(「ポジティブなものを発信して、ネガティブなことからは距離を置きたいんです」と本人)。だが素人目にも、コルテス巡査が右寄りの政治思想であることは容易に伺える。彼のページにはPatriotic Pumpというアパレルサイトのプロモーションコードが掲載されているが、このブランドは「銃をぶっ放せ」「娼婦よりもスクワット命」といったスローガンが書かれたTシャツを販売している。

だがジョージ・フロイドさんの事件に絡む抗議活動で、TikTokの警察官たちも徐々に政治的ないざこざから逃れられなくなってきた。原因の一端は、無惨なフロイドさんの死、誰の目にも身の毛がよだつような事件の状況にある。ほとんどの警察官が、あの動画を見て恐ろしくなったと答えるだろう。「私なら間違いなく、事実が明るみになるまで待って、後付けでどうこう言ったりはしません。あの動画には、私の気持ちを変えてくれそうなものは何ひとつありませんでした」とダニエル氏は語った。

Translated by Akiko Kato

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