加熱する音楽著作権訴訟、ストリーミング各社とソングライターたちの全面戦争

Vianney Le Caer/Invision/AP/Shutterstock


現時点でイズラライト会長とNMPAは、“CRB III”が定めたロイヤルティ引き上げに対するSpotify、Amazon、Google、Pandora(Appleは含まれていない点に注目)の控訴という差し迫った課題に集中するよう、ソングライターに呼びかけている。その一方、今回の騒動の結果が何であれ、来年”CRB VI”がはじまるまでその記憶は音楽出版社とソングライターの記憶にずっと刻まれると語った。

「(Spotify側が)目立った行動さえとらなければ我々の熱りもやがては覚め、なんとなく忘れ去られるだろうとSpotifyのある幹部が言うのを直接耳にしました」とイズラライト会長は言った。「我々が勝つか負けるかはさておき、Spotifyの行いは極め
て侮辱的で、決して忘れられることはないと断言します」。

「ソングライターにとって重要なのは、誰が味方かを見極めることです。SpotifyとAmazonが音楽業界フレンドリーであることを謳うような振る舞いはすべて、ソングライターの収入を1/3削減しようという試みに優先度を奪われてしまったのです」。

言葉を入念に選んだうえで、Spotifyは昨年CRBが定めたレート引き上げに控訴した理由を解説しながら次のように警告した。「より大きな取り分をほしがるのは当然だ。だからといって、音楽業界の成長のために音楽ストリーミングが犠牲になってはいけない」。

これはつまり、回るカネにも限度があり、Spotify自身の取り分が大きくなればすでに赤字の業界が崩壊するおそれがあるという意味である。単純計算だが、レコードレーベルが収益の52%を持っていき、音楽出版社に15%が渡るなら、アメリカでのSpotifyの取り分は33%となる。数十億ドル規模のテクノロジー会社を運営するには不十分だというSpotify側の言い訳は、イズラライト会長にとって受け入れ難いものである。

会長は次のようにも語った。「音楽出版にSpotifyが支払える以上の価値があると判断するなら、Spotifyはビジネスオペレーション全体を見直すべきです。レコードレーベルと音楽出版社がそれぞれ要求する金額を支払えない、そんなビジネスには価値がないというなら、いっそビジネスから手を引けばいいのです。ほかの誰かが解決してくれますから。市場とはそういうものです」。

会長はさらに続ける。「Spotifyから全レコードレーベルがエクイティを受け取ったときのことを覚えていますか? Spotifyが株式を公開したとき、Spotifyの上級幹部とレコードレーベルはバリューを手に入れました。彼らは、何十億ドルという大きな釜を分かち合ったんです。それに対し、ソングライターと音楽出版社には何も入らなかった。収入の15%を楽曲そのものに対して支払うことにブツブツ文句を言うSpotifyにあまり同情的ではないのをどうか許してください。でも、その楽曲こそが彼らのビジネスを支えているのです。Spotifyは、我々の商品を消費者に提供しています。それなのに我々の取り分が15%であるのに対し、彼らは30%近くを手に入れています。おそらくSpotifyは、自分たちの役割がソングライターの2倍重要だと考えているのでしょう。そんなのどうかしています」。

著者のティム・イングハムは、2015年以来グローバルなニュース、分析、雇用情報を提供してきたMusic Business Worldwideの創業者および発行者。同氏は米ローリングストーン誌のために毎週コラムを執筆している。

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Translated by Shoko Natori

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