キース・リチャーズが語るアメリカと人種差別、ツェッペリン、ロックンロールの未来

キース・リチャーズ(Photo by Theo Wenner)


演奏とスタジオワークの美学

―60年代に、あなたが独りで「ギミー・シェルター」のギターを重ねていたことや、「ストリート・ファイティング・マン」の歪んだサウンドをアコースティックギターで出していたと読んで、大いに感激しました。当時、かなり特別なことをしていたという自覚はありましたか?



キース:自分が必要だと思うことをやっていた。アルバムを作るという目的があったから、特別なことだとは思わなかった。ときどき誰かを連れてきたり、2〜3人やって来ることもあった。「さあ5時だ、スタジオに入って始めよう」なんて具合にセッションが始まることはほとんどなかったな。素晴らしいアルバムっていうのは、そんなふうに作られるもんじゃない。特に俺たちの場合はね。

(コントロール・ルームの窓を指さし)あの小さなガラス窓を見ろ。空白だ。キャンバスがほしければここにある。静寂がキャンバスだ。音楽を視覚的な表現に置き換えてみよう。例えばここでちょっと音を出して、ビートを入れる。そして少し音を足して「待てよ、これは外そう」って具合に調整していく。曲作りは、本当に音で絵を描いていくみたいなんだ。「ここには何が必要だろう? まずはギターの音でいっぱいにしてみよう。そして一度全部削り、こっちの音をほんの少し使おう」なんて言ってね。絵筆はフェーダーの付いたミキシング卓だ。俺はこのテーブルにすっかり魅了されている。ここまでテクノロジーが発達するまでは、遥かにもっと単純だった。当時の俺たちが何を持っていたかというと、巨大な絵筆なんだ。

残念なのは、(機材が)目の前にあるからといって何でもかんでも使おうとする人がいることだ。そうではなく、文脈に沿って選んで使えば、レコーディングは本当に素晴らしいものになる。聴きたいものを、静寂の中から作り出すことができる。言うなれば絵の具箱だ。スタジオは俺にとって第二のホームだ。



―あなたは音で遊びながら、常に新しいものを作り出してきました。6弦を外した5弦のオープンGチューニングを有名にしたことも一つです。実は、自分のバンドで「ビフォー・ゼイ・メイク・ミー・ラン」に挑戦したことがあるんです。ビートを飛ばして1小節先のコーラスに入ることがどんなに難しいかが分かりました!

キース:(笑)ああ、そうだね。ビートっていうのは、遊んだり動かしたりできるものなんだ。「ワン、ツー、スリー、フォー」って具合に固定したり、変更できないようにするものではない。俺のアプローチはだいぶジャズに近いよ。フィリー・ジョー・ジョーンズ(が好き)だ。ルーズなのが大好きだ。

Translated by Rolling Stone Japan

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