音楽出版ビジネスもインディーズが活況、ますます曖昧になるメジャーとの境目

2019年のASCAPポップ・ミュージック・アワードで、ビリー・アイリッシュとパフォーマンスするKobaltのソングライターであり兄のフィネアス(Photo by Frank Micelotta/Picturegroup/Shutterstock)

先週、米国作曲家作詞家出版者協会(ASCAP)が主催するポップ・ミュージック・アワードで、独立系音楽会社Kobaltが年間最優秀出版者賞を受賞した。ビリー・アイリッシュの「バッド・ガイ」やリル・ナズ・Xとビリー・レイ・サイラスの「Old Town Road」リミックスなど、2019年の数々のヒット曲にKobaltの作曲家が関わっていることを考えれば、同社の受賞はさして驚くことでもない。

Kobaltは、ユニバーサル、ワーナー、ソニーの世界三大レーベルの巨大出版部門を完全に打ち負かした。授賞式に参加することかれこれ20年、Kobaltの創設者兼会長のウィラード・アードリッツ氏も、巷で大ヒットしたポップソングを作曲の面から称えるこの賞が独立系企業に贈られるのは今まで見たことがないと言う。

20年前に英ロンドンで起業したアードリッツ氏は、Kobaltを単なる音楽出版会社にはしたくなかった。Kobaltは「クリエイターと手を携え、テクノロジーを活用して透明性とデータを発信するサービス企業だ」と、アードリッツ氏はローリングストーン誌に語った。アードリッツ氏は時代がストリーミング主体へ移行するのを、音楽出版会社にとっては「ウィン・ウィン・ウィン(Win-Win-Win)」な環境だととらえた。

IT企業との業務提携が可能になり、ファンにとっても、また著作権所有者にとっても新たな価値を創出できるからだ。そのためにKobaltは業界初のアプリを開発し、クリエイターが収益や各種アクティビティのデータをリアルタイムでチェックできるようにした。また、作曲家との公平な信頼関係の構築にも力を注いだ。

「ストリーミングが収入の大部分を占めるようになればなるほど、透明性も増していきます。ストリーミングとはそういうものです」と言うのは、KobaltのCEO、ローラン・ユベール氏。「目で見て、随時チェックできる……前よりもチャンスが広がりました。正直、昨今のクリエイターには選択肢が広がっています」。Kobaltは、作曲家がオンラインのポータルサイトからロイヤリティの前金を得ることができる仕組みを確立。10年前に始めたこの仕組みが、COVID-19に伴う都市封鎖で今まで以上に重宝されている。「5回クリックすれば、必要なときに金を引き出すことができます」とアードリッツ氏。「昔なら、契約の再交渉には3~6カ月はかかりました」

Translated by Akiko Kato

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