他人を混乱させて責任を錯覚させる心理操作「ガスライティング」とは?

ガスライティングには以下のような特徴があります。

1. 露骨な嘘をつく
2. 証拠があったとしても、「そんなことは言っていない」と過去の発言を否定する。
3. あなたに近い、大切なもの(例えば子ども等)を武器にする。
4. 時間をかけてあなたを疲弊させていく。
5. 言行不一致。
6. これまであなたを貶していたのに、反対に褒めたりポジティブなことを言ったりして、混乱させる。
7. 混乱が人を弱らせることを知っている。
8. 自分のせいであっても相手のせいにする。
9. 人があなたに反感を持つように仕向ける。
10. 周りの人間はみんなあなたに嘘をついている、と言い、自分に頼らせようとする。

政治に関するニュースを見ていると、政治家たちにこういった特徴が結構見られるのがとても残念に思いますが、「臨床社会学の方法(2)ガスライティング」(中村正)によると、ガスライティングは「親密な関係性(親子・夫婦・師弟等)と非対称な関係性」つまり、逃れにくく、力の関係の上下があるところにおいて起きやすいとされます。またこの被害者の95%が女性であるという調査(*)もあります。

先述の「臨床社会学の方法(2)ガスライティング」の中で、中村正氏は、ガスライティングは「沈黙を強いる行動」であり、「自分より『弱い者』をコントロールして保たれる生活は心理的には脆い。さらに操作する相手に依存しているので、最終的には共に倒れることになる。共同して生きていく関係性としては脆弱である」とし、「『裸の王様状態』でしかない、賞賛し、服従する『弱者』がいなければ王様ではありえない」と指摘しています。これは、身近な人間関係のみならず、社会の構造や現状にもあてはまる面もあるのではないでしょうか? ガスライティングの被害から逃れるためには、まずはこうした心理的虐待の存在を知ること、そして自分の気持ちを主張しても良いのだ、という意識を持つことが大切なのです。

参照:
「J. Coleが新曲“Snow On Tha Bluff”でBLMについて声をあげるNonameをディスしたと話題になる | Earl SweatshirtやChance The RapperらはJ. Coleを批判」2020.06.18 FNMNL編集部
https://fnmnl.tv/2020/06/18/99592

「対人援助マガジン」第14号 「臨床社会学の方法(2)ガスライティング」中村正

「Why Toxic Positivity Is Just Another Form Of Gaslighting」Women’s Health
https://www.womenshealth.com.au/why-toxic-positivity-is-just-another-form-of-gaslighting

「11 Warning Signs of Gaslighting」Psychology Today Jan 22, 2017
https://www.psychologytoday.com/intl/blog/here-there-and-everywhere/201701/11-warning-signs-gaslighting

Researching Police Responses to Coercive Control
https://n8prp.org.uk/researching-police-responses-to-coercive-control/

「これってモラハラ!?精神的DV『ガスライティング』の正体」COSMOPOLITAN 2020.04.29
https://www.cosmopolitan.com/jp/beauty-fashion/health/a30919430/what-actually-is-gaslighting/




<書籍情報>




手島将彦
『なぜアーティストは壊れやすいのか? 音楽業界から学ぶカウンセリング入門』

発売元:SW
発売日:2019年9月20日(金)
224ページ ソフトカバー並製
本体定価:1500円(税抜)
https://www.amazon.co.jp/dp/4909877029

本田秀夫(精神科医)コメント
個性的であることが評価される一方で、産業として成立することも求められるアーティストたち。すぐれた作品を出す一方で、私生活ではさまざまな苦悩を経験する人も多い。この本は、個性を生かしながら生活上の問題の解決をはかるためのカウンセリングについて書かれている。アーティスト/音楽学校教師/産業カウンセラーの顔をもつ手島将彦氏による、説得力のある論考である。

手島将彦
ミュージシャンとしてデビュー後、音楽系専門学校で新人開発を担当。2000年代には年間100本以上のライブを観て、自らマンスリー・ライヴ・イベントを主催し、数々のアーティストを育成・輩出する。また、2016年には『なぜアーティストは生きづらいのか~個性的すぎる才能の活かし方』(リットーミュージック)を精神科医の本田秀夫氏と共著で出版。Amazonの音楽一般分野で1位を獲得するなど、大きな反響を得る。保育士資格保持者であり、産業カウンセラーでもある。

Official HP
https://teshimamasahiko.com/


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