他人を混乱させて責任を錯覚させる心理操作「ガスライティング」とは?

ややネタバレになりますが、映画の『ガス燈』では、妻の財産を狙う夫が、妻自身には身に覚えがないのですが、妻に物忘れや窃盗癖、幻聴があるかのように仕掛けます。そして、それによって妻は「自分がおかしいのではないか」と精神的に追い詰められてしまいます。ちなみにSTEELY DANの2000年のアルバム『TWO AGAINST NATURE』には「ガスライティング・アビー」という曲が収録されていますが、これはこの映画『ガス燈』に由来します。

ガスライティングは、DVの加害者もよく行います。例えば暴力を振るう加害者側が「自分を怒らせるな」と言うような場合です。これはつまり「自分を怒らせたおまえが悪い」という理屈になります。言われた側は、何が暴力のきっかけとなるかわからない相手の感情や気分に常に配慮しなければならなくなり、自分のことを二の次にして相手を優先してしまい、マインドコントロールされた状態のようにもなってしまいます。また、以前取り上げた「トキシック・ポジティビティ」も、過剰なポジティブさを強要して相手の思考や感情をコントロールしようとしているという点で、このガスライティングの一種であるとも言えます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE