世界をゴールドに染め上げる、最新アルバムの背景ー黒田さんが8月にリリースする最新アルバム『Fly Moon Die Soon』についても聞かせてください。収録曲も気になりますが、このジャケットは一体何があったんですか?黒田:撮ったあとに「いかん、これは絶対インタビューで聞かれる!」と気づきました。
YonYon:すごいですよね。ギラギラしてる(笑)。
黒田:信頼している写真家の瀬尾宏幸にアルバムを聴かせて、一緒に呑みながら「なんかアイディアある?」と聞いたら「卓也くん、金色が見えるよ!」って(笑)。もう少し具体的にあるだろうと聞いても「わかんないけど金色なんだよ!」って言うから、じゃあそれで行きますかと。
それで撮影したら、現場を手伝ってくれた友達が満場一致で「カッコイイ」と言うんです。「面白い」ではなくて「カッコイイ」だと。信頼している人たちがそう思うなら、それはGOしかないでしょう。あとは、これがカッコイイと思う人とは仲良くなれそうやなって。踏み絵的なジャケットです。
ーYonYonさんはこれを見て、どう思いました?YonYon:ネットのニュースで流れてきて、すごく……カッコイイなって(笑)。私には同じことできないし、別人かと思いました。
黒田:「誰?」って感じだよね。仮装大賞。
YonYon:ファーストインプレッションは「ジャズ界の王様」でした。
黒田:いいね、金を司るファラオ。ジャズを聴かない人にも「なんじゃこりゃ!」って興味を持っていただけそうなジャケットかなと。それともう一つ、絶対に内容で負けられないというのも、自分との勝負としてありました。
ーたしかに、これで中身が微妙だったら……。黒田:それはもう死んだほうがいいですよ、ホンマに。生卵100個食いますよ(笑)。
ーレーベル資料には「絶対的な自然と人間の偉大なる卑猥さの妙」がテーマと書いてありますが、これはどういう意味ですか?黒田:僕は変な人間が大好きなんです。「変=人間」じゃないですか。わかりやすく言えば、モデルみたいなカッコイイ人の足が臭いとか(笑)。マイナスがあるからこそ人間になれる。
YonYon:AIにはないものですよね。
黒田:そうそう。あとはデスヴァレーってありますよね、ラスベガスの近くにある砂漠。あそこで2日間キャンプしたんですけど、その時はオフシーズンで誰もいなかったんですよ。夜に暗くなると、見たことがないくらい星が綺麗で。そんな一生モノの光景を眺めながら、ワイン呑んでベロベロになってたという(笑)。人間が勝つことのできない偉大な自然に対して、酒なんて人間の弱さの象徴ですよね。つまりはそういうことなんです。
今回、僕がプログラミングで作ったレトロフューチャーみたいな楽曲もあるんですけど、それは大自然の情景を表現していて。そこから僕がソロを吹き出すと、人間のソウルフルなところ、弱いところや臭いところが滲み出ると。その二つを行ったり来たりして……説明しだすと長くなるんですよ。簡単に言うと「愛」っすね。ラヴです。
YonYon:まとめた(笑)。
デスヴァレーで撮影された、黒田のアーティスト写真(Photo by Hiroyuki Seo)ーYonYonさんはアルバムを聴いてどうでしたか?YonYon:クラシックピアノを嫌々と通わされてたから、ジャズはなんとなくもっと遠い存在で。DJで使う曲の中でもサンプリングで使われていたりするし無縁ではないけど、どうしても難しそうなイメージがあるんですよ。そんな私でさえも、すごく聴きやすいアルバムだと思いました。それぞれの曲にカラーがあるし、ジャンルも全然違いますよね。
黒田:うん、違う。アフロビート、ファンク、R&B、ヒップホップ……いろんな音楽が好きで、それが勝手に反映されてしまった気がします。
YonYon:ジャズという括りのなかで、こんなに幅広いサウンドが表現できるんだなって。
ーアルバムもそうだし、今回のコラボが素晴らしかったので、お二人のさらなる共演も楽しみです。黒田:共通の友人も思ったよりいるみたいだし、今回で終わりじゃなくて、いろんな可能性があると思うんですよ。それに今の状況が落ち着いたら、どこかのライブやフェスで一緒になるだろうから、(共演の)ネタをたくさん作れたらいいですよね。
YonYon:嬉しい……あざーっす!
Photo by Kana Tarumi
黒田卓也
『Fly Moon Die Soon』
2020年8月5日日本先行発売
CD予約:
https://store.universal-music.co.jp/product/uccu1641/
「ドゥ・ノー・ホワイ」
「ドゥ・ノー・ホワイ」(YonYon & MELRAW Rework)
配信リンク:
https://jazz.lnk.to/kurodatakuya_dnwYD