83歳のブルースマン、バディ・ガイがコロナ禍の生活とデモについて語る

2020年6月6日、自宅でのバディ・ガイ(Photo by Lyndon French for Rolling Stone)



窓ガラスを全部割られたけど、何も盗まれていなかった

―今のレジェンズの状況はどうですか? 現在クラブ・オーナーの多くが戦々恐々としてるようです。

うん、ほら、私はもう運営からは離れていて、子どもたちが運営しているんだ。噂に聞いたところだと、ここ2〜3日、50人だけ入れて開店したとかしないとからしい。でも50人では開店はあり得ない。私のクラブは500人収容だ。ただ、観客50人でスタッフの仕事を確保できるのであれば、それを受け入れるとは子どもたちに伝えた。人々が提示したルールに従うだけだよ。私が独断で「開店する」と宣言することはないね。専門家の意見をちゃんと聞くから。ありがたいことに十分に貯蓄できるだけの幸運に恵まれていた。私の母が昔よく言っていたものだよ。当時、ガスヒーターはなくて野外炉があった。母は「雨の日のために乾いた木を準備しておきなさい」と言った。今、私がやっていることはそれだ。子どもたちに「まっ、金はちょっとあるから少しの間は大丈夫だし、状況をしっかりと見極めよう」と伝えた。つまり、雨の日のために乾いた木を準備していない人はクラブが再開できないと思うよ。

―例の警察官の残虐行為に抗議するデモであなたのクラブがダメージを受けたとニュースで読みました。

ああ、窓ガラスを全部割られたけど、何も盗まれていなかった。全部割られたせいで、ガラスの破片がものすごい量になっていてね。やっと板囲いをしたところだ。クラブを運営している子どもたちから話を聞くのだが、「父さん、うちのクラブは他よりもかなりましだったよ」と言っていたね。ステート・ストリートとセブンス・アヴェニューの角にサウス・ループ・クラブってのがあって、あそこはかなり破壊されたと聞いた。それにその周辺の建物はうちよりも相当ひどい状態らしい。そうなった理由はわからないし、これは誰にもわからないよ。

―国中で、世界中で、あんなふうに抗議デモが起きているのを見てどう思いましたか? 

それはね、ほら、私は60年代にキング牧師とともに同じ状況を体験している。平和的な行進は必要だったけど、ああいう暴動は必要なかった。あの状況を利用した連中がいるわけだ。どうしてそうするのか、私には理解できない。特に自分の近所を襲うなんてね。一方で、平和的に抗議をしている人たちは公民権を得ようとしているし、あれは私たちがかつてやるべきだったことをやったわけだ。あれは当時の私たち世代が抗議行進をしなくてもよかったことだった。奴隷を持っていた歴史的な男たちの像は建ってあるけど、ジェロニモの像はない。

【画像】アパッチ族の酋長ジェロニモ、1886年撮影(写真)

コロンブスがアメリカ大陸を発見したとき、彼はインディアンをたくさん殺さなければいけなかった。でも、ジェロニモの像はどこにもないんだよ。ジェロニモは最後まで戦い続けたのだから、彼の像がどこかにあるべきなのに。つまり、私はそういうことをすべて覚えている。子どもの頃に通っていたルイジアナの田舎の学校で歴史を教えられたときに、私は教師に質問してお仕置きされた。「先生、コロンブスがアメリカを見つけて上陸後、たくさんのインディアンを殺さなければいけなかった理由は何ですか? そうなった経緯を教えてくれないのはどうしてですか?」って聞いただけなのに。この質問には一度も答えてもらえなかった。

―長生きして歴史をたくさん見てきたあなたは、現在のこのムーブメントをどう評価しますか? 良い方向に転じていると思いますか?

トンネルの向こう側に明かりを見つけるべきだった。でもたくさんのことが起きて、絨毯の下やテーブルの下に隠してあったことが明るみに出た。そして、誰もが現状を知ったんだよ。これを見て、首を締められて死ぬまで窒息されられたこの紳士(ジョージ・フロイド)を見て、不満が一斉に噴き出した。でも、同じような人が他にもたくさんいる。それが明るみに出たんだ。だって私たちには権利がなかったから。こんなことが発生するまで。そして、それを世界中が目撃してしまった。この事象が過去に達成できたことよりも大きな成果をもたらすかもしれないよ。

Translated by Miki Nakayama

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