MELRAWこと安藤康平が語る生音の魅力、WONKやKing Gnuら同世代との出会い

MELRAWこと安藤康平(Photo by Kana Tarumi)

サックス、フルート、トランペット、ギター、シンセサイザー、MPCなど数々の楽器を演奏するマルチ・インストゥルメンタリスト、MELRAWこと安藤康平。2017年にリリースされたデビューアルバム『Pilgrim』には、サポートを務めるWONKのメンバーや、KANDYTOWNの呂布、ものんくるの吉田沙良、石若駿らが参加し、カマシ・ワシントンやテラス・マーティンとも比較される名盤に仕上がっていた。アーティスト、プレイヤー、プロデューサーといった枠組みを超え、King Gnu、millennium parade、Answer to Remember、kiki vivi lily、Friday Night Plansなどにも関わりながら、縦横無尽の活躍を見せるMELRAWは、現在のシーンの影の主役だと言っても過言ではないはずだ。

※この記事は2020年3月25日発売の『Rolling Stone JAPAN vol.010』の特集企画「いまこそ『楽器』を」に掲載されたものです。


B’zを全曲コピーしたギターキッズ
しかしサックスで音大、NYへ

ーもともとお父さんが音楽好きで、小学生の頃からギターを弾いていたそうですね。

MELRAW:親父は60~70年代のロック、昔でいうところのR&Bとかが好きで、「クルマの中で子供に童謡を聴かせて何になるんだ」みたいな人だったので、小っちゃい頃からブルースロックとかを聴いてて、ライブにも意味がわからないまま連れて行かれてました。最初に弾いた楽器はZO-3というスピーカーが付いたショートスケールのギターです。「やれ」って言われてたらやらなかったと思うんですけど、親父はそれをそっと置いておいてくれたんですよ。高いギターは触ると怒られたから、「これなら触っていいんだ」と思って触ってたら、「お前、ギターに興味あるのか。だったら教えてやる」みたいに上手く乗せられて。

ー素晴らしい教育者ですね(笑)。

MELRAW:もともと小さい頃にエレクトーン教室に通ってたんですけど、それは本当に嫌で、指一本で弾く以上のことはやってなくて。僕は地元が名古屋なので、最初に「燃えよドラゴンズ!」のコードを教えてもらって、ギターで弾いてました。あとペンタトニックを教えてもらって、「ジミヘンもクラプトンもこれしか使ってない」とか言われて、CDに合わせて弾いたりもしてましたね。



MELRAWの参加作品/プロデュース作品を集めたプレイリスト

ーでも、中学に軽音部がなかったこともあって、吹奏楽部でジャズをやることになり、最初はトランペットだったけど途中からサックスに移ったんですよね。

MELRAW:そうです。小さい頃からアース・ウィンド・アンド・ファイアーのライブに行ったりしてたので、何となく管楽器に興味はあったんです。しかも中高一貫校だったので、中1から見た高校の先輩がすごく上手く見えて。その先輩の中にスター的なサックスプレイヤーがいて、かっこいいなって。でも、その頃は学校でやるのはサックス、家に帰ってからはギターで、「仕事はサックス、趣味はギター」みたいな時間の使い方をしていました。その吹奏楽部は、「ロックをやりたかったけど、楽器できるのがジャズの部活しかなかった」みたいな子が多くて、そうなると、正規の練習時間が終わった後に「ちょっとロックやろうぜ」ってなるんですけど、先生がもともとクラシック出身だったのもあって「うるさいのやめて」みたいに言われちゃって。なので、ロックはずっと家でやってたんです。

ーサックスに関しては、がっつりジャズを?

MELRAW:いわゆる吹奏楽的な吹奏楽はまったく通ってなくて、サックスはずっとジャズですね。中学生だからまだコテコテなジャズはあんまり聴けなくて、デイヴィッド・サンボーンとかケニーGは聴いてましたけど、あとはPE’ZとかSOIL&"PIMP"SESSIONSとか国内のインストミュージックが大きかったです。中3くらいからDIMENSIONにハマって、CDもDVDも全部買ったり。

ーその一方でギターでは、B’zを全曲コピーしていたそうですね。

MELRAW:それまではいわゆる洋楽至上主義の中二病みたいな感じで、当時だとリンキン・パークとかスリップノットが好きだったから、「リフがないと音楽じゃない」みたいな感じだったんです。そんな中で先輩がB’zで盛り上がってて、最初は「でも、洋楽と比べたら……」みたいに思ってたけど、先輩が作った「B’zベスト」のMDを聴いたら、「日本でもこんなことができるんだ」って感動して。渚園のライブビューイングにも行って、その次の日に先輩から『Pleasure』と『Treasure』の譜面を貸してもらったんですけど、「2週間で返して」って言われたから2週間で全曲覚えたんです(笑)。

ーその後はサックスで地元の音大に進み、休学してニューヨークにも行かれたそうですが、サックスかギターかで迷ったりはしませんでしたか?

MELRAW:ギリギリまで悩んでました。でも、ギターは学んで上手くなるっていうのがあんまりイメージできなかったんですよね。サックスは「芸術として学ぶ」みたいな気持ちだったのかな。それに当時はギターの方が自分の中で「敵なし感」が強かったんです。実際音大でサックスをやってると、いろんなアイドルとの出会いがあって。ニューヨークから来たエズラ・ブラウンというサックスプレイヤーと一緒に吹かせてもらったのをきっかけに、「本場に行かないとダメだな」と思って渡米することにしたんです。留学とかではなかったので、行ったのは半年くらいなんですけど。

ーニューヨークでの経験から得たものは、どんなことが大きかったですか?

MELRAW:みんなプライドを持ってるし、自信があるんですよね。日本人って、ライブが終わって「かっこよかったよ」とか言われると「いやあ」みたいになりがちだけど、向こうの人はそうじゃなくて、「俺これでやってるから、かっこよくて当然でしょ。ありがとう」みたいな。プロって言っても、CDも出してない、毎週レストランで演奏してるくらいのやつがそんな感じで、でも、人に金払って聴いてもらうんだから、そうじゃないとダメだよなって。だから、音楽的なことよりも、ニューヨークでサバイブしてる人たちの精神的な強さに感銘を受けた感じですね。演奏的には最初コテンパンにやられたんですけど、ポジティブになれたというか、最終的には「俺は俺だ」って思えるようになりました。

Edited by Yukako Yajima

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