米国民に愛されるアイス「エスキモー・パイ」、ブランド名が「侮蔑的」だとして名称変更へ

アイスクリーム・ブランド「エスキモー・パイ」のオーナー企業が侮蔑的だと認め、名称と販売路線の変更を約束(Courtesy ofDreyer’s Grand)

1921年の誕生以来、アメリカ国民に愛されているアイスクリーム・ブランド「エスキモー・パイ」を販売するDreyer’s Grand Ice Cream社が、同製品の名前が「侮蔑的」だという理由で名称変更することを宣言した。

「ここしばらくエスキモー・パイ業務の見直しを行った結果、今後は商品名および販売路線を変更することにいたしました」。Dreyer’s Grand Ice Cream社のマーケティング部長、エリザベス・マルケス氏はこのようにローリングストーン誌に語った。

「我々は人種間の平等の解決に貢献することを誓うとともに、この名称が侮蔑的であることを認めます。今回の措置は、国民の価値観を反映した企業とブランドにしてゆこうという、大規模な再評価の一環として行われるものです」。エスキモーという言葉に関しては、北極圏地域に植民した人々がイヌイット族やユピック族に対する蔑称として使ったのが始まりだという批判もあり、長年論議の的となっていた。

ブランド再編の取り組みの一環として、同社はキャラクターの使用を全面的に取りやめ、年内には新しい商品名で販売する予定だ。

今回の背景には、ジョージ・フロイドさん殺害に関する一連の人種差別問題がある。最近ではQuaker Oats社が声明を発表し、パンケーキミックスやシロップで知られる「アント・ジェマイマ」の商標停止を発表。人種差別が背景にあることを認めた。この商標は「Old Aunt Jemima」というミンストレル唱歌(19~20世紀初頭に黒人の紛争をした白人が歌った歌)にちなんで名づけられたもので、人種への配慮のなさとステレオタイプが波紋を呼んでいた。

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アント・ジェマイマの発表からほどなく、パーボイルドライスやソースで知られる「アンクル・ベンズ」もブランドロゴの変更計画を明らかにした。公式声明では「消費者、とりわけ黒人コミュニティの声に耳を傾け、世界各地の共同経営者の意見を聞く中で、商標ロゴも含め、アンクル・ベンズのブランド刷新が我々にできることのひとつだと実感いたしました」と述べられている。

ミセス・バターワースというパンケーキミックスのメーカーConagra Brands株式会社も、本来は「愛情あふれるおばあさんを連想させようとした」パッケージの見直しを行うとの声明を発表した。「我々の行動が人種差別の撲滅に大きく貢献することを理解した結果、弊社はミセス・バターワースの商品名およびパッケージの一新に着手いたしました。世界中でいまだに人種差別や人種間の不平等が存在することは大変胸が痛く、受け入れがたいことです。弊社も解決の一端を担ってまいります。変革にむけて、ともに歩みだしましょう」

またB&G Foods社が――にっこり笑うアフリカ系アメリカ人シェフ、ラスタスがトレードマークの同社の製品クリーム・オブ・ウィートは、ロゴが人種差別的だとして長年批判を浴びていた――「直ちにクリーム・オブ・ウィート製品のパッケージを見直す」と発表した。

「シェフのロゴに関して、懸念が持ち上がっていることは弊社も把握しており、パッケージの再検討に乗り出しております。また、弊社の製品が不用意に構造的人種差別に加担することのないよう、今後も積極的な措置を講じてまいります」。ローリングストーン誌に宛てた声明の中でB&G社の代表者はこう述べた。「B&G Foods社はいかなる偏見や不平等にも、全面的に反対いたします」

Translated by Akiko Kato

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