マインクラフトのバーチャル卒業式、参加した大学生が語る舞台裏

技術と人情が導いた成功

私が一番感動したのは技術的な問題への対応ではなく、サーバーにいた人たちの優しさだ。障害が発生しても企画者たちを急かしたり、文句を言ったりする人は誰もいなかった。代わりに彼らは互いの卒業を祝い、帽子を投げ、卒業アルバムのコメントを読み笑い合っていた。モンゴルへ留学したとき以来に再会したアーサイナス大学3年の友人、マーサ・カーベルから赤い花束をもらい、一緒に踊ってくれた。この状況下で出来る最高の卒業式がこれなら私は満足だ。

260人の卒業生が学位記を授与されると、オバーリン大学からの4人が一人ずつステージに向かう時が来た。自分の番が来ると、私は「/robes red(ガウン 赤)」と打ち込み、それを身に纏った。そして右クリックでジントニックを飲み干し、壇上で飛び回った。

MODで地図に私の名前と専攻を書き込んで作られた学位記はクオレンティーン大学のスクールカラーである、Zoomと同じ青の線で美しく彩られていた。オバーリン大学の卒業式を終えて数日が経った今でも手元にある学位記はマインクラフトでのものだけだ。この独創性と、MODで書き換えられたマインクラフトの地図であるという事実は自分にとってとても重要で、実際の大学からもらう学位よりも嬉しかった。

パンデミックで失業者が続出し、環境問題も悪化し続ける中で社会に出るのは非常に不安だが、2020年度卒業生は大きな壁を共に乗り越えることが出来るとクオレンティーン大学が教えてくれた。何十人ものボランティアが旅立ちと祝福のために協力して島を開拓し、マインクラフトのプログラムも書き換えられるのなら、「現実の世界」では――それが何であるかはさておき――互いのためにさらに力を合わせられると自信を持って言える。地図に描かれた卒業証書には「これで航路を見つけよう。眼前に広がる未知の世界で互いを見失いはしない」という意味が込められているように思える。我々は突き進む。

Translated by Mika Uchibori

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE