マインクラフトのバーチャル卒業式、参加した大学生が語る舞台裏

惜しみない努力の結晶

予算も大学からの支援もないクオレンティーン大学は卒業式を成功させるために、様々な工夫をしなければならなかった。クオレンティーン大学のサーバー管理者ジスヴァン・アリヤラトネはストレステストを行うのは難しいと考えていたものの、クラッシュしてスケジュールが押してしまう心配はしていなかった。アリヤラトネとバーグは最近マインクラフトで行われたBlock by Blockwestという音楽フェスで、サーバーの収容人数が足りなくなってしまう事態を招いた原因を研究したことで、式をスムーズに進行出来るよう調整した。最後の仕上げにアリヤラトネはマインクラフトに登場する鎧をビロードのガウンのようなデザインに変え、バーグはマインクラフトのアカウントを持っていない卒業生でもbotを使って壇上に上がれるようMODを開発した。彼らは必死になって式が始まる10分前までデバッグ作業を続けていた。

東部時間午前5時、クオレンティーン大学学位授与式が始まった。世界各国から集まった30人の卒業生が帽子を投げたのを見て、ラヴィーンドランはやっと安堵の息をつけた。「2カ月かけて準備して、問題なく進行出来ました」と彼は最後の数名が歩くのを見て言った。あとは大規模な第2部で主にアメリカの大学からの卒業生485人を見届けるだけだった。

午後2時、第2部が始まるや否やスケジュールに遅れが出た。「威風堂々」がループで流れる中、裏で企画者たちはパートリッジが卒業生たちと同じ4年生として大変だったことや、新型コロナウイルスに感染したことについて語った式辞の動画の書き出しを急いでいた。「.mov?いや.mp4だ!」。従来の式と違い、クオレンティーン大学の卒業生や出席者たちはサーバーに10分ほど入り、数人が卒業するのを見届け、退出することが出来る――長時間居続ける人が減り、サーバーがアクセス過多で落ちる可能性も減る。それでも数名の卒業生が登壇すると固まることが数回あったが、企画者たちがすぐに対処した。

Translated by Mika Uchibori

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