マインクラフトのバーチャル卒業式、参加した大学生が語る舞台裏

学生たちの力だけで作り上げた卒業式

しかしバーチャルな空間でもイベントの企画は容易ではない。式を1週間後に控えたクオレンティーン大学は様々な問題を抱えていた。全米各地から遠隔で作業していた企画者たちは式辞を述べる来賓を見つけられていなかった。MOD制作リーダーのテイラー・バーグはまだマインクラフトをバーチャル卒業式会場にするMODのコードの書き上げと動作確認が出来ていなかった。クオレンティーン大学のあるサーバーは今まで30人以上が同時に接続したことがなく、当日まで負荷テストをする方法がなかった。建物を建てていた人たちは、細部のデザインに悩まされていた。

「毎日作業が山積みでした」とラヴィーンドランはサーバーの建物の完成と卒業生名簿の整理に追われる中、準備期間の最終週に語ってくれた。もう何日も外に出ていない。「あまり長期間できるものではありません」と彼は言う。パートリッジはゲーム内で学位を渡す515人の卒業生の名前を正しく読み上げ、録音するために何時間もかけていた。バーグは式の準備やプログラミングに約30時間費やしていた。「これを仕事としている人を本当に尊敬します」とラヴィーンドラン。

ボランティアたちは2カ月かけて式が行われる島を開拓した。ブロックの列を複製出来るMODを駆使し、壁や席を設置するために島を飛び回った。今、島はホグワーツとハーバードを合わせたような外観になっているが、ホワイト・キャッスル(ハンバーガーチェーン店)、記念撮影スポット、そして2人のバーテンダーがジントニックや炭酸水、ミネラルウォーターを出すバーも併設されている。式を目前に控えた数週間の間に建物が完成していく中、企画者たちは式辞を依頼する来賓を探し始めた。Microsoftに頼むべきか? オンライン学習サイト、Khan Academy? それともマインクラフト開発元のMojang? 企画者たちは数十件のメールを送ったが、全て返信がないか、都合がつかずに終わってしまった。結局、パートリッジが自らスピーチをすることになった。「出番が来た時、まるで自分のコミュニティーの仲間に話すような感覚で、とても自然でした」と彼は言う。

【画像】「マインクラフト版」卒業証書ほか(写真)

Translated by Mika Uchibori

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