[Alexandros]ライブレポ「変わってしまった世界に刻む、変わらぬ存在の強さ」

[Alexandros](Photo by 河本悠貴)

[Alexandros]が、無観客配信生ライブ「Party in ur Bedroom」を20日に開催。今年10周年を迎えた彼らが、10th Anniversary Year企画の第1弾として3月に予定していた母校・青山学院大学での凱旋ライブも新型コロナウイルス感染症拡大に伴い公演中止。6月からスタートを予定していたツアー「Where’s My Tomato? Tour」も現在7月開催分まで中止が発表されている中、ミュージシャンとして今できることをという想いで実施されたフルセットの配信生ライブ。今回はこの模様を、ライターの坂井彩花がレポート。[Alexandros] というバンドの本質をあらためて見つめてみた。

いろんな当たり前が、なだらかに溶けていったような4カ月だった。マスクが必須になった外出、おうち時間を推奨される毎日、オーディエンスの姿が消えたライブハウス。自粛要請が解除されてもコロナ以前に戻ることはなく、変わってしまった現実が私たちを待っている。“アフターコロナ”や“ウィズコロナ”なんて言葉を目にする機会も増えたが、「新しい世界とかいまいちピンとこない」と思っている人が大半ではないだろうか。変わった世界にいきなり放りこまれて感じたのは、変わらない存在のありがたさだ。6月20日に開催された「Party in ur bedroom」は、[Alexandros]がそういうバンドだと再認識するのには十分すぎる時間だった。

ライブは落ち着いた雰囲気で『Bedroom Joule』をなぞる前編と、[Alexandros]がライブバンドだということを示す後編の二部構成で展開された。薄暗い照明のなかクリックが4つ刻まれると、川上洋平(Vo, Gt)が柔らかいアルペジオを紡いだ。導かれたのは、ライブチューンとして名高い「Starrrrrrr」のベッドルームアレンジ。思わず拳をつきあげたくなるナンバーも、全員着席で奏でられると全く違う雰囲気を纏う。セットの下に敷かれたカーペットは、室内であることを強く連想させ、視聴者の部屋の延長線でライブしているかのように感じられた。

【画像】無観客配信生ライブ「Party in ur Bedroom」の模様(写真5点)

ビートの輪郭が浮き立つ「Run Away(Bedroom ver.)」を乗りこなし、声とストリングスの重なりを「Leaving Grapefruits(Bedroom ver.)」では響かせる。グルーヴィーなダンスナンバーでリスナーを魅了したのは「Thunder(Bedroom ver.)」だ。多重録音で重ねられたヴォーカルは、ヘッドフォンで聴くからこその立体感を持ち、配信ライブで引き立つ曲として存在感を放つ。音源として魅力的な曲、生ライブで映える曲に続き、配信ライブだからこそ聴きたい曲もあるのだと打ち出しているようだった。その後も、「月色ホライズン(Bedroom ver.)」「Adventure(Bedroom ver.)」と『Bedroom Joule』の楽曲が続く。


Photo by 河本悠貴

空気の色が変わったのは、新曲の「rooftop」だ。ジャカジャカよりも軽くシャカシャカとかき鳴らされるギターが、ライブ会場とベッドルームの中間で呼吸する。ライブ配信時代のバンドの最高を探ったような1曲は、時代に迎合することなく、変にあがなうこともせず、凛と背筋が伸びていた。そして何より、再び現場で熱を共有できる未来が訪れることを信じていた。“また会えるように”という歌詞は、祈りであり誓いだったに違いない。

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