イーグルス『ホテル・カリフォルニア』知られざる10の真実

イーグルス『ホテル・カリフォルニア』ジャケット写真

イーグルスが1976年に発表した空前絶後の大ヒット作『ホテル・カリフォルニア』。グレン・フライとドラッグディーラーの会話、ドン・ヘンリーのキングサイズのマットレスといった舞台裏での出来事など、このダークな傑作にまつわるエピソードを振り返る。

70年代後半になると、無邪気で浮かれた夢物語はビジネスや名声からくるプレッシャーに侵害され、かつてのイーグルスにあった「ピースフル・イージー・フィーリング」はすっかり遠のいてしまった。金やセックス、ドラッグでは癒やすことができない重苦しい停滞感が、バンドや音楽業界、国全体まで覆い尽くしていた。

イーグルスは『ホテル・カリフォルニア』で、ロックの世界で常態化していた過剰さと自傷行動を捉えようとした。それは彼らにしかできないことだった。1975年の前作『呪われた夜』は3曲のトップ10シングルを生み出し、その次にリリースした『イーグルス・グレイテスト・ヒッツ 1971-1975』は20世紀アメリカ最大のベストセラーに向けて邁進、アメリカ・レコード協会(RIAA)にプラチナディスクという新たな賞を創らせた。「僕らは顕微鏡の下にいたんだ」とグレン・フライは当時を振り返る。「誰もが次のレコードに注目し、品定めしようとしていたからね。ドン(・ヘンリー)と僕は、『これは良い作品にしなければ』と思っていたよ」



彼らは力を結集させ、ほぼ全曲が高水準の楽曲集を生み出した。『ホテル・カリフォルニア』は堂々たるセールスに匹敵するほど批評的にも賞賛され、イーグルスはレイドバックしたカントリー・ポップバンドからロックンロールの主役へと変貌を遂げていった。ファンは何十年にも渡って、内省的かつ寓話的というリッチな歌詞に込められた真意を考え続けている。『ホテル・カリフォルニア』とは精神病院のことだったのだろうか? それとも薬物中毒のこと? スティーリー・ダンとの確執? 悪魔崇拝?

「コンセプトは個人的なことや仕事を問わず、バンドがこれまでの歩みで経験してきた物事、その頃まだ渦中にあった出来事を見つめ直すことだった」とヘンリーは、作家マーク・エリオットに語っている。

「僕らは人生や愛、ビジネスについて広く学んでいた。ビバリー・ヒルズは僕らにとって、未だに架空の都市としてあり続けていた。それは何かしらのシンボルとして浮上し、“ホテル”こそLAの全てを意味するように思えてきた。一言にまとめるなら『イノセンスの終焉:第1章』といったところかな」

それでは、この大ヒット作の知らざれる裏話を振り返ってみよう。

Translated by Rolling Stone Japan

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE