イーグルス『ホテル・カリフォルニア』知られざる10の真実

3. 「ホテル・カリフォルニア」を録音するとき、ドン・フェルダーは自分が何を書いたのか忘れていた

イーグルスがクライテリア・スタジオに慣れ、アルバムタイトル曲の制作に取り掛かった時点で、フェルダーが最初にこの曲をテープを録音してから1年以上が経過していた。彼とジョー・ウォルシュが長尺のギターフレーズに着手したとき、ヘンリーは何かが欠けているように感じた。

「ジョーと僕がジャムセッションを始めたら、ドンが「ノー、ノー、ストップ! 間違ってるよ」と言ってきたんだ」とフェルダーは2012年、MusicRaderに語っている。「間違ってるってどういうことだよ?」と僕が言ったら、「いやいや、デモと同じように弾くべきだろう」って。ただ困ったことに、そのデモを作ったのは1年前で、自分が何をやっていたのか思い出せなかったんだ」さらにややこしいことに、そのデモが入ったテープは、国の反対側のロサンゼルスに置いてきていた。追い込まれた彼らは妙案を捻り出す。

「マリブにいる僕のハウスキーパーに電話をして、カセットを探してもらい、ラジカセに突っ込んで、受話器に向かって再生してもらうことにした」とフェルダーは言う。結果的に、満足のいくものを作ることができたようだ。「デモに近い演奏になって、ドンもご満悦だったよ」

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4. ジェスロ・タルのイアン・アンダーソンは、「ホテル・カリフォルニア」が自分の曲に似ていると信じていた

ジェスロ・タルのマルチ奏者、イアン・アンダーソンが「ホテル・カリフォルニア」を初めて聴いたとき、強烈なデジャヴに襲われたという。彼の耳にはこの世界的大ヒット曲が、自身のプログレ・バンドが1969年に発表した2ndアルバム『スタンド・アップ』収録の自作曲「ウィ・ユースト・トゥ・ノウ」そっくりに聞こえたのだ。イーグルスとジェスロ・タルが1972年に一緒にツアーしている事実も、故意かどうかはさておき、自分の曲の要素が使われているとの疑念を払拭させることはなかった。「たぶん、彼らは無意識のうちに覚えていて、後年になってから有名な『ホテル・カリフォルニア』でコード進行を使ってしまったんだろう」と彼はSongfactsのインタビューで語っている。



イーグルスを弁護しておくと、そのツアーが行われたのは、この曲の主要作曲者であるフェルダーが1974年に正式に加入する2年前のことだ。もっともフェルダーは、当時から初代ギタリストのバーニー・ リードンと友人であり、ツアーでのパフォーマンスに立ち会っていた可能性はある。フェルダーは後に、作曲をした時点で「ウィ・ユースト・トゥ・ノウ」は聴いたことがなく、ジェスロ・タルのこともフルート奏者がいること以外は何も知らなかったと主張している。

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いずれにせよ、アンダーソンはこの件について寛大な見方をしている。「コード進行が同じというだけだから。拍子もキーも違うし、文脈も違う。それにとても素晴らしい曲だし、ただただ彼らを祝福するばかりだよ。恨みはまったくないし盗作されたとも思っていない。ただ時々、「あの曲は自分に対する一種のトリビュートなんだ」って冗談交じりに言及しているけどね」

Translated by Rolling Stone Japan

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