イーグルス『ホテル・カリフォルニア』知られざる10の真実

イーグルス『ホテル・カリフォルニア』ジャケット写真


1. 「ホテル・カリフォルニア」の仮タイトルは「メキシカン・レゲエ」だった

今ではLAの暗くて不吉な裏側と同義語となっている「ホテル・カリフォルニア」だが、アルバムタイトル曲は驚くほど牧歌的な環境下で作られたものだった。ドン・フェルダーはマリブにビーチハウスを借りており、潮風を浴びながらのんびりギターを弾いていた。「7月のある素晴らしい日に、僕はドアが開け放たれたリビングにいた」と彼は2013年、ギター・ワールド誌に語っている。「水着姿で濡れたままカウチに座りながら、『この世界はなんて素晴らしいんだ』と考えていた。そこから12弦のアコースティック・ギターを取り出し、チリリンと弾き始めてみたら、『ホテル・カリフォルニア』のコードが自然に降りてきたんだよ」

●イーグルス「ホテル・カリフォルニア」1977年の貴重ライブ映像を回想

基本的なメロディを完成させたあと、彼はティアックの4トラック・テープレコーダーを取り出して、出来上がったばかりのコンポジションを録音し、ベースとドラムマシンをオーバーダビングした。「ユニークな曲だとは思ったけど、イーグルスに合うかはわからなかった」と彼は2010年、Gibson.comとのインタビューで認めている。「ギターパートなんてほとんど、当時のラジオで流れていたレゲエから抽出したようなものだったからね」

1976年の春、イーグルスが5枚目のアルバムの制作に取りかかるため再集結したとき、バンドメンバーと曲のアイデアを探るべく、フェルダーは自分が手掛けたインストのデモ・カセットを用意してきた。本人は初めのうち遠慮していたにも関わらず、たくさんの候補から採用されたのは、このレゲエ調の曲だった。

「フェルダーが半ダースほど曲の断片が入ったカセットテープを持ってきてくれたんだ」とヘンリーは、2016年6月にローリングストーン誌に語っている。「それまではどれもピンとこなかったけど、この曲は違った。あれはシンプルなデモだった。アルペジオで弾くギターコードとホーンのようなサステインのあるフレーズで、リズムはドラムマシンによる4拍子のシンプルなパターン。ラテン風のパーカッションも入っていたかもしれない。あの曲を初めて聞いたのは、ベネディクト・キャニオン・ドライブか(ビバリーヒルズ・ホテルに隣接する)ノース・クレセント・ドライブを車で走っていた夜のことだった。『面白い曲が作り出せそうなポテンシャルがあるぞ』と思ったのを覚えているよ」

グレン・フライも同様に感銘を受けていた。「僕らは『エレクトリック・メキシカン・レゲエ』とか呼んでいた。わあ、なんて素晴らしいスタイルの融合なんだってね」と彼は1992年、ラジオのインタビュー番組「In The Studio With Redbeard」で語っている。その後、歌詞が決まる前の初期セッションでは、「メキシカン・レゲエ」がこの曲のワーキングタイトルとなっていた。


2. 隣で録音していたブラック・サバスの騒音が、イーグルスのセッションにまで漏れていた

新しいセッションの監督役を、イーグルスは前作『呪われた夜』にも携わったベテラン・プロデューサー、ビル・シムジクに依頼した。シムジクは復帰を喜びながら、ひとつ条件を提示してきた。それまでイーグルスが制作拠点としてきたLAのレコード・プラント・スタジオから遠く離れた、マイアミの伝説的なクライテリア・スタジオで録音したいというのだ。「あの地震が発生した日が、プロデューサーとしての独立記念日なんだ」とシムジクは後年、Sound on Soundにジョークまじりに語っている。彼がマイアミでレコーディングしたいと主張したのは、地震多発地帯を避けるためだった。最終的には妥協点に達し、双方が好むスタジオにそれぞれ時間を割くことになった。「彼らはクライテリアに来るたび、LAを脱出してパーティや取り巻きから離れられるのが嬉しかったみたいだ」とシムジクは語っている。

クライテリア・スタジオでは、『テクニカル・エクスタシー』を制作中のブラック・サバスと一緒になった。「イーグルスが隣で録音していたけど、僕らの音がうるさすぎたみたいだね」とトニー・アイオミは2014年、アンカット誌に語っている。「演奏する音が壁を抜けて、彼らのセッションにまで届いていたんだ」。『ホテル・カリフォルニア』の繊細なクロージング・バラード曲「ラスト・リゾート」は、この音漏れのせいで何度も録音し直さなければならなかった。

●ブラック・サバス50周年、革命的なデビューアルバム制作秘話

サバスの方が音量は大きかったかもしれないが、パーティとなればイーグルスも負けていない。彼らが引き払ったばかりのスタジオに足を踏み入れたときのことを、ブラック・サバスのベーシスト、ギーザー・バトラーはこう回想している。「レコーディングを始める前に、ミキシング・ボードからコカインを全部そぎ落とさなければならなかった。1パウンドくらいのコカインをボードに残していったんじゃないかな」

Translated by Rolling Stone Japan

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