清春が語る「配信ライブ」のあるべき姿

『THE TEST』のステージに立つ清春(Photo by Yoshihiro Mori)



なぜ無料にしなければいけないのか?

―『THE TEST』の企画が発表された時、“その手があったか”と思いましたね。ネット環境が悪かったりサーバーにトラブルがあったりすると配信が途切れることもある。でも無期限で楽しめるライブ音源が手に入るわけで、そこの担保ができている。さらにライブハウスを使うことでライブハウスにもお金を落とせるし、裏方のスタッフにもお金が落とせる。

清春:1回目の反省点としては、ライブ制作のスタッフがいなかったので、2回目からはフルではないにせよライブ制作のスタッフにも手伝ってもらおうと考えてます。自分たちが演奏する会場にお客さんがいなくなったことで何か変わったかというと、イベンターと制作会社に頼らなくてもできてしまうこと。そこに関してはこれからいろいろ変わっていくんでしょうけど、そういう現状にみんな気づいてしまった。でも一方で配信ライブできちんと対価を取るということには、まだ恐れがあると思うんです。

―配信でお金を取るな!みたいな声を恐れていると?

清春:そう。最初はうちのスタッフからも高いんじゃないですか?って意見も出て。
でも安くしても高くしても観る人は同じだっていう想像もあった。なのでプライドを持って普段通り行こうと話しました。値段の分は音源をプレゼントしようと。それは歩み寄りとは違う、この時期だからこそ配信だからこそ可能なプレゼント。でもタダじゃない。だってコロナじゃない時、僕はタダでライブをやったことはないんだから。なぜ急にこうなったことで無料や安価にしなければいけないのか?その点はすごく考えました。価格設定もそう。

若いアーティストは3000円くらいでTシャツ売ってますからね。Tシャツ付きで1万2500円。確かに高い方だと思いますけど僕はむしろ安いんじゃないかという気はします。そして僕のファンは昔から応援してくれる方が多いので、チケットを手配してホテルを予約して、会場には何を着て行こうかなとか、ライブ前に何を食べようなかとか、ライブ終わったら打ち上げどこでやろうとか、そういうものが無い違和感・ギャップを埋めるために、音源をプレゼントしようと思ったんです。

―演者側もオーディエンス側も納得ができる素晴らしいアイデアだと思います。

清春:換算とかしたくないけど、ライブCD出すとしたら確実に3000円はするので、それを考えたら安いのかなとも思う。普段のライブとは違って音は残せるんだけど、残せないもの(映像)もある。まあでもお金を払ってくれてるファンはそれで凄く満足してくれてます。文句言うのは無料で観ようとする人たちなんですよ。無料の人しか文句を言わない。僕らぐらいのキャリアのアーティストは、そういうのは相手にしなくていいんじゃないかと思います。ネット上で荒れるからって気にするミュージシャンがいますけど、そんなことを気にするためにミュージシャンになったんですか?って。

―(笑)実際にやってみて、清春さんの中で一番の収穫はなんでしたか?

清春:一番の収穫は、自分の映像を見ながら2時間歌ったことですね。この経験は初めてだったと思う。MVではカメラの下にモニターがあって、それを見て歌えるんですけど、今回はそれがずっと続くような感じで。ファンの人がその場にいるかいないかっていう点でいうと、レコーディングの時もいないわけだから、そこまで気にならない。モニターを見ながらライブをするっていうのは、客観視できるしファンの人の気持ちにもなれると思いましたね。音源も録っているから動きや表情だけじゃなくて、歌詞や言葉にも意識が行くというか。

―そんなことを考えながら2時間はすごいエネルギーと集中力を要しますね。

清春:終わった後はかなり疲れたけど、ある程度キャリアを積んだ人ならみんなできると思うんですよ。でも、自己陶酔的な美学の要素がないタイプのアーティストだと難しいかなとは感じました。

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