15位『ペギー・スーの結婚』(1986年)
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の焼き直しだと軽んじる人もいるが(どちらも主人公が旅するのはドゥワップの時代)、フランシス・フォード・コッポラ監督のこの作品は、物悲しくも、思慮にとんだなかなかの秀作だ。気が付けば1960年、高校3年生の時代にタイムスリップしていたキャスリン・ターナーは、10代の自分が下した決断が大人になってからの自分にどう影響していたのか知ろうとする――レノンとマッカートニーが作曲する前に「シー・ラヴス・ユー」をヒットできるかも、と期待に胸を膨らませながら。
14位『ビルとテッドの大冒険』(1989年)
『アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー』から『ミスター・ピーボディ&シャーマン』まで、過去の時代へさかのぼるドタバタタイムトラベルは数多くあるが、どれひとつとして、アレックス・ウィンターとキアヌ・リーヴスの抱腹絶倒の演技に敵うものはない。南カリフォルニアの2人の少年が、歴史の授業で落第せず、かつ自分たちのバンド「ワイルド・スタリオンズ」を存続させて未来のユートピアの礎を築くべく、西洋文明の著名人を訪ねて回らなくてはならなくなる、という設定だ。もっとも印象深いシーンは、リーヴス演じるテッドがソクラテスを前にカンサスを引用して薫陶を垂れる場面。「すべては風の中さ、デュード」
13位『彼女はパートタイムトラベラー』(2012年)
マーク・デュプラス演じるスーパーの店員がタイムマシンを発明し、一緒に時間旅行してくれる同伴者を新聞広告で募集する。オーブリー・プラザ演じる雑誌社のインターンは、広告の取材を兼ねて志願する。果たして誰の胸に予想もしない絆が芽生えるのか? このインディーズ映画は、「人生を前よりもっと良い形でやり直す」というタイムトラベルの永遠の夢を突き詰めた作品だ。この作品をリアルにしているのは――デュプラスとプラザの名演技はもちろんのこと――このまま夢に浸り続けるのか、そもそもタイムマシンは本当に動くのか、最後の最後まで分からないところだ。