18位『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(2004年)
ハリー・ポッター・シリーズ最高傑作は、たまたま最高のタイムトラベルを扱った作品だった。こんな偶然があるだろうか? たくさん授業が取れるように1日の時間を延ばしたいと思ったハーマイオニーは、特別に逆転時計の使用を許可される。だが映画のクライマックスで、ハーマイオニーとハリーは時間を数時間さかのぼり、シリウス・ブラックとヒッポグリフを救うという使命を負う――そしてFinal Cut Proで新たな素材を継ぎ合わせる凄腕編集者のごとく、過去の出来事を塗り替えるのだ。
17位『オースティン・パワーズ:デラックス』(1999年)
マイク・マイヤーズによるジェームズ・ボンドのパロディ第2作。グルーヴィーなスパイ、オースティン・パワーズはDr. イーヴィルを追って自らのルーツ、すなわちスウィング全盛期の60年代へ遡らねばならなくなる。タイムパラドックスを心配するパワーズは(文字通り)明後日のほうを向いているので、誰も本気で取り合わない。ヘザー・グラハム演じるフェリシティ・シャグウェルに、オースティンは1990年代をこう描写する。「1人1台空飛ぶ車を所有して、食事は全部錠剤で済ませ、地球は小憎らしいサルに支配されている」
16位『ウィザード』(1988年)
1348年、黒死病を逃れようとイギリスの村人たちがトンネルを掘る。オズの世界に迷い込んだドロシーのように映像はモノクロからカラーへ一転、トンネルを出ると20世紀のニュージーランドだった(14世紀の村人が600年先の未来にタイムスリップする方法を見つける、という考えに賛同しかねるなら……我々だって、今もまだタイムマシンを発明していないではないか)。シュルレアリズムと信仰心が満載の作品は、現代の世界がどれほど奇妙であるかをまざまざと描き出すことに成功した。