氷室京介とRCサクセション、キングオブロックのライブ盤を振り返る

いい事ばかりはありゃしない / RCサクセション

2005年に出たアルバム『RHAPSODY NAKED』からお聴きいただいております。1980年4月5日の久保講堂でのライブを収めております。キャリアの長いバンドやアーティストには、あそこで何かが変わったという歴史的な転機になった劇的なライブがあるのですが、この久保講堂はRCサクセションにとってそういうライブですね。デビューは1970年で「宝くじは買わない」という曲でした。当時はフォークトリオという形で世の中に出てきたんですね。でも、自分たちのやりたい音楽、ソウル、R&Bのような黒っぽい重いドラムを叩ける人が周りにいなかったので、止むを得ずそういう編成でデビューしたわけですね。そしてデビュー曲は3人でレコーディングしていたはずなのに、出来上がったレコードにはスタジオミュージシャンが入っていたという始まりでした。

1枚目のアルバムや初期のRCサクセションもそうですね。「あれ? こんな演奏俺たち知らねえよな」というのが出来上がったレコードに入っておりました。そして2枚目から自分たちで全部やるようになった。そういう1970年代に不遇だった人たちはかなりたくさんいるわけですが、彼らはその代表的な存在ですね。その後には事務所のトラブルというやつに巻き込まれましたね。井上陽水さんと同じ事務所だったんですが、陽水さんが移籍した時に、ペナルティのような形でRCもレコードが作れなかったという時期が長かった。3枚目のアルバム『シングルマン』が出たのが1976年だったんですけど、このアルバムもレコーディングしたものの1年間お蔵入りになっていた。そういう1970年代を経験しています。どん底を経験しているバンドと言って良いでしょうね。その中でメンバーが入れ替わって、1978年に仲井戸“CHABO”麗市さんが入ってロックバンドになり、1980年代を迎えるわけですが、そういうどん底の中で作ったバラードが次の曲です。

Rolling Stone Japan 編集部

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