The 1975インタビュー「ルールを設けないこと、それが僕たちのルール」

時代遅れのステートメントを出すわけにはいかない

アートが生まれる空間にいるヒーリーの姿は容易に想像できる。彼は思いついたことを極端な早口で述べ、隔離生活のお供になっているコンテンツを片っ端から列挙する。アレックス・ガーランドの『Devs』、アダム・カーティスのドキュメンタリー、戦争のルポルタージュ、スロッビング・グリッスル、サイキックTV等だ。最近ではハイテクへの関心がますます高まっており、VR企業とのパートナーシップやビデオゲーム業界にも興味を持っているという。バンドは今週、「ザ・バースデー・パーティー」のビデオでも目にすることができたVR空間「Mindshower」をローンチした。そこではバンドによるアートやデモのステム等を用いて、ユーザーが新たなコンテンツを生み出すことができる。

約20年前から現在に至るまで、ヒーリーとダニエルは音楽的ヴィジョンを共有している。「今は副産物としての音楽っていうのにすごく興味があるんだ」そう話すダニエルは、再びイーノとライヒを例に挙げる。「忙しすぎてまだ着手できてないけど、オリジナルの楽器を作るっていうアイディアをしばらく温めてるんだ。奇妙なものを買い集めてるんだけど、そういうのを組み合わせて、音が鳴ってはいるんだけど必ずしも曲として聴く必要はない音楽を作ってみたいんだ。思わせぶりに聞こえるかもしれないけどさ」

またヒーリーとダニエルは、気候変動の問題についても真剣に考えている。新作の冒頭曲「The 1975」(過去の全アルバムで同名の曲が冒頭を飾っている)には、今すぐに行動を起こす必要があると訴えるグレタ・トゥーンベリの独白がフィーチャーされている。大人数の集会の開催が再び可能になった際に、The 1975はどのようなコンサートを開催すべきかについて、ヒーリーは考えを巡らせている。大規模な照明システムを使う案をボツにした上で、彼らは自然エネルギーをより活用したショーのアイディアを練り続けている。電光掲示板ではなく垂れ幕を用いることや、ショーの日中開催などはその一部だ。

「客は照明目当てでショーに来るわけじゃない。照明の力は大きいし、僕のヴィジョンにおいて重要な要素であることは確かだけど、それに代わる何かについて考えるべき時が来たんだ」彼はそう話す。「時代遅れのステートメントを出すわけにはいかない」

世界に示そうとしているステートメントと同様に、ヒーリーは「寛大で長尺」なバンドの最新作をこの上なく誇りに思っているという。「否定的な意見もあるよ」彼はそう話す。「あんなにも奇妙でありながら万人受けするレコードは他にない。あれは僕たちの最高傑作だと思ってるよ」


●The 1975のマシューが語る、怒りと希望のメッセージ「美しさはこの世で一番鋭い武器」



The 1975 - Notes On A Conditional Form ジャケ写.png
The 1975
『Notes On A Conditional Form』
(邦題『仮定形に関する注釈』)
発売日:2020年5月22日(金)
日本盤CD:UICP-1202
¥2,500(税別)
歌詞・対訳・解説付

配信・購入リンク
https://umj.lnk.to/The1975_4thAlbum


SUPERSONIC

東京公演
日程:2020年9月19日(土)・ 9月20日(日)・ 9月21日(月・祝)
会場:ZOZOマリンスタジアム&幕張海浜公園
時間:9:30 開場 / 11:30 開演
料金:
【1DAYチケット】¥14,000
【3DAYチケット】¥36,000 ※枚数限定
【プラチナチケット(各日)】¥20,000 ※枚数限定

大阪公演
日程:2020年9月19日(土)・ 9月20日(日)
会場:舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
時間:9:30 開場 / 11:30 開演
料金:
【1DAYチケット】¥13,000
【2DAYチケット】¥24,000 ※枚数限定
【プラチナチケット(各日)】¥18,000 ※枚数限定

チケット一般発売日:7月11日(土)10:00~
https://supersonic2020.com/

Translated by Masaaki Yoshida

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