評価や成果に捉われない 改めて考えるべき“より深い”自己肯定感とは?

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彼らの言葉には「自己肯定感を持つことの大切さ」が表明されています。今この「自己肯定感」という言葉は、アーティストたちだけでなく、様々なところで注目されていますが、やや偏った解釈をされて広まっているようにも感じます。例えば、誰かのために役立ったとか、何かの成果を得られた、というようなことによって得られる自分への自信などを自己肯定感と言うような場合です。これは必ずしも間違っているというわけではありませんが、もっと深い自己肯定感とは、何かができるとか役に立つとか、そういったこととは関係なく認められるべきもので、臨床心理学者の高垣忠一郎氏の言葉では「自分が自分であって大丈夫」という感覚のことです。先述の自己肯定感が「自己効力感」と結びついた「機能レベル」の肯定であるのに対し、これは「存在レベル」での肯定になります。「何かができる」「役に立つ」という機能レベルでの肯定は、それがなければ存在が許されないかのような状況も生み出してしまう危険性があります。高垣氏は「自分が役に立っているという『自己効力感』『自己有用感』を得ることは大切であるが、それにとらわれないことも大切だ。周囲の期待する必要に応えることによって、はじめて自分の存在が許されるかのような気持ちにとらわれる人、なにか『役に立つこと』をしていなければ自分の『居場所』がないかのような強迫観念に駆られている人をみれば、そのことがわかるだろう」と指摘し、まず何よりも「自分が自分であって大丈夫」という自己肯定感を持つことの重要性を説いています。

また、学校や社会の中での過剰な競争原理の影響で、他者との比較にこだわりすぎてしまうと、自己肯定感を抱けなくなってしまうこともあります。学校や仕事の成績や目立った活動などは、実際は、ある人のごく部分的な特徴に過ぎません。しかし、そのほんの一部分にしかすぎないことに振り回されて自分全体を否定的に考えてしまうと、メンタルにも良くない影響を与えてしまいます。ケンドリック・ラマーは「ただ自分自身であれって意味さ。他人を意識しすぎるあまりに、自らの才能を台無しにしてしまったヤツらを、俺は嫌と言うほど見てきた」とも語っています。精神科医の野村総一郎氏は、人々の悩みや不安の原因の大きなものの一つが「いつも他人と比べてしまっている」ことだとし、それに対して「ジャッジフリー」という考え方を提唱しています。私たちは様々な局面で無意識に、あるいは自分勝手に、優劣をつけたり、勝ち負けを意識したり、上に見たり下に見たりというような「ジャッジ」を下しています。そうした思考から意識的に離れ、自分らしく自然なままでいるようにすることが大切だ、ということです。


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