トランプ政権の経済顧問、「白人がオバマに投票した」ことを理由に差別の存在を否定

クドロー氏は組織的人種差別の存在を否定した一方で、その意味について反論。しまいには「ここでいう組織的の意味が分かりかねる」との仰天発言も(CNBC/Screencap)

まるで列車事故のようなインタビューだ。トランプ米大統領の経済顧問の1人が、アメリカには組織的人種差別は存在しないという過去の発言について質問を受けたが、自ら墓穴を掘る結果となった。

CNBCの番組『Closing Bell』の司会者サラ・エイセン氏は15日、ホワイトハウス国家経済会議のラリー・クドロー委員長に、組織的人種差別を否定した過去の発言について問いただした。

「あなたは以前、『アメリカに組織的人種差別が存在するとは思わない』とおっしゃいましたが、今の世情をふまえれば、驚愕の発言だと思います。経済データを見ても、COVID-19のあと社会格差は悪化の一途をたどっています。発言の意図を詳しくお聞かせいただけますか?」とエイセン氏。

だがクドロー委員長は発言を撤回するどころか、「アメリカの制度の本質は平等だ」と豪語した。

「私は、組織的人種差別があるとは思っていません。アメリカの制度は、人類史上に作られた中で最高の制度だと思います。我々は自由で、平等で、公正です。我が国は大いなる発展を遂げてきました」とクドロー氏。

その後もクドロー氏は「腐ったリンゴ」の常套句を引き合いに出し、人種差別問題をできるだけ抑えようとした。さらに人種に関する自らの見識の証拠として、白人有権者がバラク・オバマ前大統領を2回も支持した事実を述べた。

【動画】女性司会者のサラ・エイセン氏のツッコミを交わすクドロー委員長

「白人がオバマに投票した」から組織的人種差別は無いと主張する

「いいですか。オバマ前大統領、黒人初の大統領は7900万もの白人票を得て2度当選を果たしました。2回の選挙で7900万票ですよ。このことからも、私には組織的人種差別と呼ばれるものがよく理解出来ません」

クドロー氏は自らの意見を立証すべく、何世紀もかけてこの国で徐々に行われてきた人種問題にまつわる肯定的な動きについて語ったが、まくしたてる間サーグッド・マーシャル判事(アフリカ系アメリカ人初の最高裁判所判事)の名前がなかなか出てこないという場面もあった。

そして、組織的人種差別とはアメリカの制度がもともと悪いものであるかのようだが、実際はそのようなことはない、なぜならアメリカは過去の過ちから学び、変化を起こしているからだ、と語った。

「私が言いたいことはこうです。我々は過去から学ぶことができる。自らの過ちから学ぶことができる。歴史がそれを証明しています」とクドロー氏。「そして今、再び特定の過ちから学ぼうとしているのです。これは組織的な問題でしょうか? いいえ。組織的問題とは、アメリカが悪い、アメリカが間違っている、という意味です。私はそうは思いません。そんな風に考えたことは一度もありません」

Translated by Akiko Kato

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