WONKの江﨑文武が語る、常田大希や石若駿ら同世代と共有してきた美意識

WONKの江﨑文武(Photo by Kana Tarumi)


優れたプレイヤーたちが集う
同世代と共有する問題意識

ーシーン的な話をさせてもらうと、現在は「ジャズ」をキーワードとしつつ、よりジャンル横断的な優れたプレイヤーがたくさんいて、なおかつそれが「バンド」という枠に捉われず、自由に往来しながらシーンを盛り上げているように思います。昨年のmillennium paradeとAnswer to Rememberの始動、コレクティブ的な動きというのはその象徴のようにも見えたのですが、江﨑さんは現在の潮流をどのように見ていますか?

江﨑:コレクティブ的なスタイルっていうのは、欧米だともうちょっと前の時代にあったのかなって。

ーまあ、グラスパー的な流れではありますよね。

江﨑:そうですね。最近はむしろビリー・アイリッシュ的な、個に音楽が戻ってきてる感じがあって……でも、これは日本のシーンが欧米のシーンよりもビハインドしてるとかそういう話ではなくて。単純に僕の周りの話をすると、20代前半の頃から近くに優れたプレイヤー、表現者がいることはお互い知っていて、だから、この前Answer to Rememberのライブを観に行きましたけど、早稲田のジャズ研の部室みたいだなって(笑)。

ーmillennium paradeはどうでしょう?

江﨑:millennium paradeも同窓会的な要素は強いと思います。MELRAWと、King Gnuの新井和輝、勢喜遊は、六本木のエレクトリック神社でセッションをしてきた仲だし、僕と常田は藝大の同級生で、当時から一緒に音楽を作ったり、映像とかの話もしてたし。まあ、そもそもバンドを掛け持ったり、複数の団体名で何かをすること自体が、上の世代からすると変な感じだっていうのは先輩ミュージシャンからよく言われますね。

ーでも、それって昔から行われていることでもあって、例えば、はっぴいえんどからYMOへと至る流れでも、近いことが行われていたと思っていて。ただ、SNSの普及などによっていろいろな境界線が消えて、より繋がりやすくなり、なおかつその繋がりが可視化されたことによって、よりダイナミックな動きになっているっていうことかなって。

江﨑:そうだと思いますね。僕らもはっぴいえんどとかYMOの話はよくするんですけど、ひとつはみんなが集う場所があったかどうかが大きくて、あとは、その世代にいいミュージシャンが固まってるかどうかが大きいなって思います。鍵盤奏者で言うと、30代半ばがめちゃめちゃ層が厚いとか、そういうのってあるんですよね。僕らの世代はわりとブラックミュージックが基調で、そこからいろんな派生をしている。そういう仲間が固まってたというのはデカいと思います。



ーYMOの話で言うと、坂本龍一さんは作曲家であり鍵盤奏者であり、藝大の大先輩でもあるわけですが、江﨑さんにとってはどんな存在だと言えますか?

江﨑:めちゃめちゃ憧れますね。個人的に、ピアノ弾きで「アーティスト」としてかっこいいと思う人ってあんまりいないんです。技術的にかっこいいなって思う人は何人もいらっしゃるんですけど、坂本さんは一つひとつの見せ方が上手いというか。対談とかを読んでも、引き出しがものすごく多くて、音楽以外のこともめちゃめちゃ知ってらっしゃることが伝わってきて。だからこそ、あれだけ発信の仕方とか、自分の見せ方にバリエーションがあるんだろうなって。

ー「届け方まで考えたい」という江﨑さんにとっても指針になるというか。

江﨑:ご本人は「藝大の音楽学部で学んだことはそんなにない」「藝大に対して特別なにかあるわけじゃない」みたいな風におっしゃってるんですけど、美術学部の学生とめちゃめちゃ交流してたりして、音楽以外の視点を獲得したっていう意味では、藝大という環境はワークしてたんじゃないかなって、個人的には思ったりもして。

ー江﨑さんご自身の経験と繋がる部分ですね。

江﨑:やっぱり藝大は「音楽大学」じゃなくて「芸術大学」だっていう、そのデカさはすごく感じますね。ただ、能動的に動く必要はあって、それさえすれば、すごくいろんなことを吸収できる環境だったと思います。

Edited by Yukako Yajima

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