「ミュージシャンは政治を語るな」に物申す AAAMYYY × ermhoi対談

左からAAAMYYY、ermhoi


「ミュージシャン=別世界の人」ではない

―AAAMYYYさんも音楽の無力感を抱えました?

AAAMYYY:そうですね。でも、1人でも感動してくれる人がいるんだったらやりたい。……というふうに、全員じゃなくても、どこかで聴いてる人の心の安らぎになることが、音楽の目的かなと私はこの機会に考えたりもしました。だから、自宅から配信ライブをやりましたけど、届いてる人が1人でもいるんだったらすごく意義はあるんじゃないかなと思ってやってましたね。

「BLOCK.FESTIVAL」の生配信を拝見しましたけど、確実に私に届いてました。

AAAMYYY:本当ですか、嬉しいです(笑)。私が感じたことで言うと、「ミュージシャン=芸能人」というような大枠で見られているなってことで。芸能人=お金持ちで、有名で、憧れの的で、ちょっと妬まれ対象にもなってしまうような職種として見られているんだな、ということが浮き彫りになったなと思いました。

ermhoi:それはすごく感じます。表現にも色々な形があるのに、「芸能」っていうひとつの括りにされてしまうというか。

AAAMYYY:そうそう、そうなんです。「芸術関係者に最大150万円を給付」というニュースも、記事のタイトルだけを見てすごく過激なことを言う人もいたりして。


AAAMYYYはニューシングル「HOME」を5月にリリース


ermhoiは新曲「E」「Amphitrite」をが6月にリリース

―「ミュージシャン=芸能人=華やか」みたいなイメージが、日本では根強くありますよね。「一般人とは別世界の人」という一面的な見られ方があるから、今回のコロナ禍や「#検察庁法改正案に抗議します」の際に、「ミュージシャンは歌だけ歌ってろ」といった意見で叩くケースが多々発生したのかなと思います。

AAAMYYY:ミュージシャンや芸能関係者が政治的発言をするのは、コロナより前からずっとやってる人はいたわけですけど、コロナが起きたからこそ物議を醸した部分もきっとあるなと思っていて。みんながオンライン上の世の中で自由に物事を述べる中で、一線を超えてしまうことが当たり前になって、過激な論争が起きてしまうのが普通になってしまった。そこで使われる言語がすごく攻撃的であったり圧力的だったりするのを見て、なぜそうなってしまうのだろう? ということを前から考えていたんですよね。Fikaでのコラム連載でもそういう考えを書かせてもらっているのですが(記事はこちら)、自分の中の既成概念とか、育つ中で教えられてきたことをソーシャルメディアで言うのが正義というか、「この考えであることが正しい」という正義の押し付け合いが起きてるなって思いますね。

ermhoi:SNSを自分の溜まった負のエネルギーを発散する場所として利用している人がいますよね。承認欲求はみんなあるものだけど、それを埋めるために求める方向性がそれぞれ違ってて。たとえば強い言葉を投げかけることで、それに反応してもらえるだろう、目立つだろうと思って過激なことを書く人がいて、戦場のような事態になる。私は相変わらず発信し続けると思うんですけど、それに対して理不尽なことを言われようとめげずに、私は私なりに勉強して、私が正しいと思う情報を多角的に見て、発信していきますというふうに自分を鼓舞しています。特に今リアルなコミュニケーションが薄らいでいるから、この画面の中でリアルなコミュニケーションを投影してしまってるのかなとも思いますね。

AAAMYYY:スマホをずっと眺めてる人が格段に増えた今の時代において、画面の中の世界が自分のリアルな世界であるという感覚は、実は自分にもあるなって思います。

ermhoi:そうそう。

AAAMYYY:「このミュージシャンはこういう政治的発言をするから、この人の音楽は聴かない」みたいな意見は全然あっていいと思うんですけど、「ミュージシャンは音楽だけをやってろ」というのはちょっと論点が違うし、それは一線を越えてしまってることだって、みんなが認知したんじゃないかと思ってます。たとえば、きゃりーぱみゅぱみゅさんが「#検察庁法改正案に抗議します」のツイートをしたときも、それにリプライしているみなさんの動向などを見ると、「ミュージシャンはバカだ」みたいにマウントを取って、「そういう人は音楽だけやっていればいい」ってベクトルが違う反論をしている。その一線を超えたやりとりをTwitterをやってる人たちみんなが見ることができたわけで、その中には本質をちゃんと見抜いた発言もあったのがすごくよかったと思ったんですよね。そういう一連の意見をみんなが知れたことで、これから色々いい傾向に変わっていくんじゃないかと。

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