ボブ・ディランが語るフロイドさん殺害事件とコロナ禍について

・「アイ・コンテイン・マルチチュード」に交錯する様々なイメージ

新曲「アイ・コンテイン・マルチチュード」でも大勢の人物の名前が挙がり、アンネ・フランクとインディアナ・ジョーンズが一緒なのはなぜ?に対し、

「彼女のストーリーにはとても大きな、深い意味がある。明確な言葉で語るのも、何かに置き換えて語るのも難しい。特に今の時代のカルチャーではね。集中力欠如で、誰も人の話なんて最後まで聞かない。今、君はアンネの名前だけをコンテクストから取り出したが、彼女はトリロジーの一部なんだ。私に聞く時に、インディアナ・ジョーンズとローリング・ストーンズを挙げようと思ったのは何故?、と尋ねることだって出来たわけだ。でも君はアンネを選んだ。名前そのものは孤立しているわけじゃない。それらが組み合わされた時、単独のパーツはそれ以上の何かになる。あまり詳しい話をしても意味はない。曲は絵画のようなものだから、あまり近くに立ってしまうと全体の絵が見えなくなる。個々のピースは大きな全体の一部でしかないんだ」



そのローリング・ストーンズだが、お遊びで自分が書きたかったと思うストーンズの曲は?については「<アンジー><ヴェンチレイター・ブルース>……あとは、そうだ。<ワイルド・ホーセズ>」と返す。

「アイ・コンテイン・マルチチュード」を聴いて思ったのだが死について、よく考えるか?との問いには「人類の死、についてなら考える。裸の猿がたどってきた長く、奇妙な旅……。軽んじるつもりはないが、一人の人間の人生なんて儚いものだ。どんな人間も、どれだけ頑強で力が強かろうが、死ぬ時は脆いものだ。一般論としては考えるが、自分と結びつけてではない」と語った。

・コロナ禍と自身の健康について

このパンデミックは、聖書に書かれた言葉のようなもの?何を意味している?という問いについては、

「来るべき何かの前触れだと思う。間違いなく、侵略的で、蔓延的だ。でも聖書? 人間の過ちに報いるための、なんらかの警告という意味で? そうだとしたら、世界にはやがて天罰が下されるということになる。過激な傲慢さには、破滅的な罰が与えられるものだ。もしかすると、人間は破壊の一歩手前にいるのかもしれない。このウイルスについてどう考えるか、その考え方はいくつもある。自然消滅させるしかないのだと思う」

5月に79歳となったディラン。健康状態はどうか? 何かコツがあるのか?については、

「それはまた大きな問題だな。どうやってなんて誰かわかってやってるやつはいるのか?人間の心身は、手に手を取り合っている。どこかで合意がなきゃ、だめっていうのか。心は精神、身は体だと思う。その2つがどう一つになるのか、想像もつかない。ただ、そのまっすぐな直線の上を歩き、そこから外れず、そのレベルを保つようにしているだけだ」
と答えた。

【画像】秘蔵写真で振り返る、1975年のボブ・ディラン(9点)


<INFORMATION>


『ラフ&ロウディ・ウェイズ』
ボブ・ディラン
ソニー・ミュージックジャパンインターショナル
 2020年7月8日発売

●E式W紙ジャケット
●解説・歌詞・対訳付
●SICP6341-2(CD2枚組)
●定価:3000円+税

<収録曲>
DISC ONE
1.アイ・コンテイン・マルチチュード
2.偽預言者
3.マイ・オウン・ヴァージョン・オブ・ユー
4.あなたに我が身を
5.ブラック・ライダー
6.グッバイ・ジミー・リード
7.マザー・オブ・ミューズ
8.クロッシング・ザ・ルビコン
9.キーウェスト(フィロソファー・パイレート)

DISC TWO
1.最も卑劣な殺人



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■日本オフィシャル・サイト
http://www.sonymusic.co.jp/artist/BobDylan/

■海外オフィシャル・サイト
https://www.bobdylan.com/

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