TikTok経由で日本でも遂に爆発!21世紀のマイケル・ジャクソン=ザ・ウィークエンドを知るための20の事柄

14:「ザ・ウィークエンド以前」に経験した
どん底の下積み時代

エイベル・テスファイにとって、ザ・ウィークエンドは初めての音楽プロジェクトではない。他の多くのアーティストと同じように、彼も下積み時代を経験している。

まずテスファイはBulleez N Nerdzというヒップホップデュオを結成。Kin Kane(旧約聖書の『創世記』に登場する、AbelとCainの兄弟にちなんでいる)という名前でラップをしていた。しばらくして、彼はNoiseという地元のプロダクションチームに加わり、ジャスティン・ティンバーレイクやドレイク、クリス・ブラウン等が歌うことをイメージした曲を作り始めている。

ローリングストーンのインタビューで、ザ・ウィークエンドは当時のことをこのように振り返っている。

「2008年から2010年頃だったと思う。あの頃の記憶は曖昧なんだ。俺の曲に『地に堕ちることは怖くない / 俺は過去にどん底を経験しているから』っていう歌詞があるんだ。この業界において、俺は失敗することを少しも恐れていない。底辺がどういうものか、俺は既によく知ってるからね」


15:初期ザ・ウィークエンドを特徴づけていた
セクシーで退廃的なリリックの世界観

ザ・ウィークエンドの最大の魅力のひとつは、リリックにおけるダークで退廃的な世界観だ。ローリングストーン曰く、「彼の描く世界はセクシーでありながら、感覚が麻痺したかのような無情さに満ちている。その放蕩ぶりの根底には、暗く不気味な何かが漂っている」のである。

例えば、『House of Balloons』収録の「High for This」では、女性を徹底的に酔わせてベッドインする過程が歌われている。また、『Echoes of Silence』収録の「Initiation」では、テスファイが演じる語り手は、自分と寝たがる女性にクルー全員の相手をさせようとしているのだ。

特に初期のミックステープにおいて特徴的だったこうした過激な描写について、ザ・ウィークエンドはローリングストーンにこう説明している。

「当時はこんな感じだった。『俺と遊びたいかい? ならこいつらの相手をしてやってよ』。俺は自分の周りで起きたことを伝えようとしただけさ。俺自身が経験したこともあれば、俺が目にした出来事を歌ってる場合もある。誰かが誰かに何かを強要することは決してない。俺は心の底から、女性は好きなことを好きにやれるべきだと信じてるんだ」


16:『キッス・ランド』の失敗を経て辿り着いた
ザ・ウィークエンドの「闇」を育んだLAの街

デビュー当初から華々しいスター街道を歩んできたように見えるザ・ウィークエンドだが、ミックステープ三部作の次にリリースした待望のメジャーデビュー作『キッス・ランド』(2013年)は、周囲や自分が思い描いていたほどの成功を収めることができなかった。しかし、その失敗があったことで、彼は成長することができたとローリングストーンに明かしている。

「おかげで少し謙虚になれたよ。現実は受け止めなくちゃいけない。反響が乏しいと分かっていて作品を出すわけにはいかないからね」

The Weeknd - Kiss Land



その後テスファイは、陰鬱なムードの中で想像力が刺激されることを期待してシアトルへの移住を検討したが、最終的にはL.A.を選んだ。最新作『アフター・アワーズ』には「エスケイプ・フロム・LA」という曲があるように、L.A.での生活は新作にもインスピレーションを与えている。それほどL.A.への移住は大きなものだった。

LAという街の印象について、ザ・ウィークエンドは2015年にこのように語っていた。

「三部作を作ってた頃の俺の毎日はダークだったけど、この街の闇の深さはその比じゃない。LAは闇そのものだ」

Translated by Masaaki Yoshida

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