TikTok経由で日本でも遂に爆発!21世紀のマイケル・ジャクソン=ザ・ウィークエンドを知るための20の事柄

4:『アフター・アワーズ』に散りばめられた、
映画マニアならではの無数のリファレンス

学生時代は映画学校に通うことも考えていたザ・ウィークエンドは、大の映画好き。ローリングストーンのインタビューでは、「俺は昔から熱心な映画ファンで、スコセッシとデニーロがタッグを組んでるやつは全部好きだった」とも公言している。

そんな無類の映画好きだけあって、『アフター・アワーズ』のタイトルトラックのミュージックビデオには、映画のリファレンスが満載。バラエティ誌のインタビューで、ザ・ウィークエンドはこのように明かしている。

「(『アフター・アワーズ』のミュージックビデオの中で)鼻を怪我しているのは『チャイナタウン』のリファレンスだし、地下鉄のシーンは『ジェイコブス・ラダー』のリファレンス。ジミー・キンメルの番組の出演シーンは『キング・オブ・コメディ』だし、エレベーターのシーンは『ガーゴイル』『ポゼッション』『殺しのドレス』だよ。もちろん『アフター・アワーズ』っていうのはマーティン・スコセッシの映画(と同じタイトル)で、明らかにインスピレーションになってる。一晩の間にいろんな狂ったことが起こることとかもね」


5:鏡に映る自分を嫌ってハイになり続けていた
ザ・ウィークエンドの暗黒時代

『アフター・アワーズ』のリリックの大半は元恋人ベラ・ハディッドとの別れがモチーフとなっているが、唯一、「フェイス」は「2013年、2014年頃の、自分の人生で最も暗かった時代」がモチーフになっているという。

The Weeknd - Faith



2013年、2014年頃というと、ちょうどザ・ウィークエンドがスターの階段を上り始めた時期。当時の彼はその目まぐるしい勢いに翻弄されてしまい、ラスベガスで警察を殴って逮捕されるという事件を起こしている。「フェイス」はその時期を振り返ったもので、曲の最後に聴こえるサイレンの音はパトカーに乗せられた時のことを表現しているのだという。

今になって当時のことを振り返ることにした理由を、ザ・ウィークエンドはバラエティ誌でこのように説明している。

「このアルバムが完璧にちょうどいいタイミングだと思ったんだ。(アルバムに登場するキャラクターは)失恋か何かの後でエスケープを求めているから。俺はまたそんな男になりたかったんだよ――神を嫌い、信仰を失い、鏡に映る自分が嫌でハイになり続けている『ハートレス』な男にね。この曲はそんな男についてだよ」


6:匿名性によって現代の過剰さへの
アンチテーゼを表明したデビュー初期

ザ・ウィークエンドは、2011年に公開したフリーダウンロードのミックステープ三部作『House of Balloons』『Thursday』『Echoes of Silence』でアンダーグラウンドのシーンの話題をかっさらい、鮮烈なデビューを飾っている。今でこそ誰もが顔と名前が一致する大スターだが、当時の彼は匿名性にこだわっていて、音源以外の情報をほとんど外に出していなかった。実際、メディアもリスナーも、ザ・ウィークエンドがバンドなのか、ユニットなのか、ソロアーティストなのか、しっかりとわかっていなかったほどだ。

初期のザ・ウィークエンドが取材を拒否していた理由のひとつは、自身が口下手だと思っていたからだという。しかし、何ヶ月もの間、ザ・ウィークエンドが何者なのか誰も知らないという状況が続いたことで、彼は「謎に包まれた存在」というコンセプトを考えついた。テスファイはローリングストーンの取材でこのように話している。

「その戦略が裏目に出ていたら、俺は取材も受けていただろうね。でも世間は、ザ・ウィークエンドの謎めいたところに惹かれたんだ。何もかもが過剰な今の世の中、『こいつ一体何者だ?』みたいな正体不明の存在って新鮮だと思うんだよ。俺のキャリアは長くなると思うね。だって俺は、まだ自分のすべてを晒してはいないからさ」

Translated by Masaaki Yoshida

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