スペインのポルノ男優、ヒキガエルの毒を使った儀式に伴う殺人容疑で起訴される

2015年、スペインのバルセロナで開かれた風俗見本市に出席中のポルノ男優ナチョ・ヴィダル(Photo by Miquel Benitez/Getty Images)

スペイン東部で昨年7月、ヒキガエルの毒を使った儀式に参加した男性が不審死する事件があり、現地時間6日、捜査当局がポルノ男優のナチョ・ヴィダル容疑者らを殺人罪の疑いで逮捕したと発表した。

46歳のヴィダル容疑者(46歳)は、2019年7月に亡くなったスペインのファッションフォトグラファー、ホセ・ルイス・アバドさんの事件で逮捕された3人のうちの1人。伝え聞くところでは、アバドさんはヴィダル容疑者がシャーマンとして執り行なっていた儀式の一環で、絶滅危惧種のヒキガエルから抽出した粉末状の毒を吸った後に亡くなった。

問題の毒は、アメリカ南西部からメキシコにかけて生息するコロラドリバーヒキガエルのもの。捕食動物を撃退するために分泌される毒だが、乾燥すると強力な幻覚作用を持つ化合物5-MeO-DMT(略してDMT)を含有する。

5-MeO-DMTは、薬物が作用している間まるで崇高な力に触れたような気分を味わえると言われていることから、「神の分子」と呼ばれていた。ごく一部の研究では治療目的での使用の可能性も仄めかされているが、極度の嘔吐や錯乱状態など、場合によっては危険な副作用も備えている。

スペインの新聞エル・パイス氏によると、ヴィダル容疑者は5-MeO-DMTの使用を公然と支持し、4年前にはYouTubeに幻覚剤を自ら体験した動画を投稿していた。彼は動画の中で、ヒキガエルの毒と出会ったおかげで薬物中毒を克服し、自らの「精神」と再び結びついて「大事なもの、つまり地球と母なる大地」とつながることができたと語っている。スペインの治安警備隊グアルディア・シヴィルの声明によれば、2019年7月の祭典の参加者は「とりわけ精神的にもろく、ある種の病気や薬物中毒の代替治療法を探していた人々で、きわめて暗示にかかりやすい状態」だったという。

著名なアダルトビデオ俳優兼監督で、ペニスの形をしたキャンドルを販売する起業家でもあるヴィダル容疑者は、これまで1500本以上の作品に出演してきたが、ごく最近は監督業のほうに力を入れていた。2012年には、中国人ギャングが牛耳っていたとみられるマネーロンダリング組織に関連した脱税および資本逃避で逮捕、起訴されたが、本人は一貫して無罪を主張し、のちに保釈された。

エル・パイス紙に宛てた声明の中で、ヴィダル容疑者の弁護士ダニエル・サルヴァドール氏は、依頼人はアバドさんが亡くなった儀式を執り行なってはいなかったと主張し、「不幸な死」は「事故」だったと述べた。「我々は彼の無実を確信しています。ただ通常の手続きとして、いくつか事実調査を行なっています」と同紙に語った。

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Translated by Akiko Kato

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