ブラックアウト・チューズデイ、黒い四角の投稿によって物議

米現地時間2020年6月2日(火)、Instagram上に溢れた#BlackLivesMatterの黒い四角が、デモに関する重要な情報を隠してしまった。 (Photo by David Buchan/Shutterstock)

白人警官によって殺害されたフロイド氏をきっかけに全米で過激化した抗議デモ。米現地時間2020年6月2日の火曜日、Instagram上には#BlackLivesMatterのハッシュタグを付加した黒い四角が溢れ、今後のデモや活動を呼びかける重要な投稿が埋もれてしまい非難が続出した。

「ブラックアウト・チューズデイ」(米現地時間2020年6月2日)は、そもそも音楽業界の人たちがジョージ・フロイドの死に抗議する「沈黙の日」として始まったものだった。

ブラックアウト・チューズデイは本来の意図が理解されないままに始まり、当日の朝は混乱状態だった。運動に参加しようとしたとてつもない数のInstagramユーザーが、黒色の四角に#BlackLivesMatterのハッシュタグを付けて投稿したのだ。そのため本来の活動が伝えようとしていたデモやイベント、警官による暴力事件、その他の重要な活動手段についての情報が埋もれてしまった。

米国の複数の有名人たちは、#BlackLivesMatterのハッシュタグを使用することで、警官による暴力に反対する現在進行中の抗議活動を純粋に推進する人たちの投稿が表示されなくなり、逆に妨げとなっている、と訴えるTwitterの動画などをシェアした。

ライターのアンソニー・ジェームズ・ウィリアムズは、「ハッシュタグ#BlackLivesMatter付きの黒い四角をInstagramへ投稿するのは止めよう。意図するとしないとにかかわらず、デモの現場やオンライン上で我々が伝えようとしている重要なメッセージを覆い隠してしまっている。そんな投稿が黒人にどう役立つというのか。むしろ事態を悪化させている。家族や友人に止めるように伝えて欲しい」と訴えた。

テレビのリアリティショー『ル・ポールのドラァグ・レース』の出演者でレコーディング・アーティストのタティアナは、「黒いボックスにハッシュタグ#BlackLivesMatterを付けた投稿は、#無意味よ。そんなハッシュタグは削除して、本物のBLMの投稿だけが読めるようにしなさい」と投稿した。

テレビ番組『ザ・デイリー・ショー』のレポーター、ジャボウキー・ヤング=ホワイトは自身のInstagramを通じて、「この7年間あなた方が何を見てきたのか知らないが、ソーシャルメディアはデモや政治的な抗議活動への動員に重要な役割を果たしている。だから、有益な情報を得たいと思う人々が検索するハッシュタグを使って、ただの黒い画面を投稿することが支援につながると考える理由がわからない」と非難した。



ブラックアウト・チューズデイ(またはブラック・アウト・チューズデイ)は、もともとアトランティック・レコーズでマーケティング担当のシニアディレクターを務めるジャミーラ・トマスと、アトランティックの元幹部ブリアナ・アギェマンという音楽業界の2人の黒人女性が仕掛けたものだった。トマスとアギェマンは業界の人間へ向けて、ハッシュタグ#TheShowMustBePausedを使い「黒人コミュニティをサポートすると同時に、音楽業界が黒人アーティストやブラックミュージックからどれほど恩恵を受けてきたかを再認識し、私たちが一致団結して取るべき行動について率直で思慮深く建設的な意見を交わそう」と呼びかけたのが始まりだ。

ハッシュタグ#BlackLivesMatterと黒い四角が、そもそもブラック・チューズデイ運動の一環なのかどうかは不明だ。ジョージ・フロイドの死と警官による暴力や人種差別に抗議する全米各地のデモを受け、ソーシャルメディア上のハッシュタグ#BlackLivesMatterは、平和的な抗議活動に対して必要以上の力を行使する警察の実態を浮き彫りにし、活動への参加を呼びかけるための極めて重要なツールになっている。

・白人警官によるフロイド氏暴行死、「息ができない」抗議デモが過激化(写真ギャラリー)

Translated by Smokva Tokyo

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